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2014/06/18

あきこの寝不足の原因は、現在の恋人の右田恒夫のせいであった。



疲れた体に電車の揺れが気持ち良い。
昨日の寝不足と今日のお酒もあってあきこは睡魔に襲われていた。
寝ちゃいけない、寝ちゃいけない、あー…

あきこの寝不足の原因は、恋人の右田恒夫のせいであった。
島根の思い出の彼に比べれば、右田の評価はかなり落ちる。
しかしあきこももう29。所詮、思い出は美しいものだ。
今は右田で良いのだ。良いと思うしかないのだ。

昨日の夕方は御徒町の居酒屋で右田と待ち合わせデートした。
あきこは半分寝ながら昨日のことを思い出していた。

あきこが約束の19時に居酒屋に着いたときには、右田は1杯目のビールを飲み終えて上機嫌だった。
「おっ! あきちゃん、こっちこっち」カウンターの一番奥に座った右田が手を上げた。
「大将、席移るよ! あと生を2つ!」と右田が付出しと箸を持ってテーブル席に移った。
右田はいちいち元気で、浅黒い顔と大きな体が特徴的な男だった。
これで宝石店勤務とはとても思えない雰囲気である。

まずはビールで乾杯し喉をうるおした。あきこが右田に会うのは2週間ぶりだった。
右田は宝石の展示会で福岡、大阪、京都を回ってきたそうで、
訪問先の料理や変わったお客さんの話を嬉しそうに語った。
「で、あきちゃんはどうだった?」
「んー。変わらない毎日だったよ。」
「つまりお局扱いかー。」
「もうそれ慣れたし。」
右田にはなんでも話していたし
大抵のことは一緒に笑い飛ばしてくれるので気楽だった。

一軒目の居酒屋で二人はさんざん飲み、食い、語り明かした。
時計を見ると21時だ。2軒目に行こうと右田が誘った。
「お! 俺、会社に財布忘れちゃったよ。」
会計になって右田が言った。
「右ちゃん、もう私が出しとくから。」
右田とあきこは来年には結婚する約束になっている。
なのであきこにとってはどっちが出したところで変わりはない。
1万何某を会計で支払い、暖簾をくぐって外に出ると右田が待っていた。

「お待たせ!」と右田の腕にすがりついた。
知ってる人間が見てる確率なんて何百万分の一だ。あきこは気にしない。
「なあ、2軒目って言ったけどさ、久しぶりだし。」
右田がおどけて斜め上を見る。
「うん。」あきこは喜んで返事をした。

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