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2015/08/22

津田浩介は一時でも現実を離れて、自分の世界に篭っていないと不安だった。



5月の夜、津田浩介は東西線に揺られていた。
金曜の夜だというのに車内はさほど混雑しておらず、浩介は乗り込んだ茅場町から席に座ることができた。
浩介は席に座るとすぐにBluetoothでペアリングしたイヤホンを耳にかけ、お気に入りの曲を聴きながら目を瞑った。
一時でも現実を離れて、自分の世界に篭っていないと不安だったからだ。

隣の席の男性がたまに腰を浮かせて座りなおしたりして、落ち着かないところがあったが、浩介はわずかに目を開けて男性の膝辺りを見るに留め、特段にその行為をとがめることもしなかった。
たまたま隣り合わせた見知らぬ人間と互いのパーソナルスペースを侵しあう。都会の電車とはこんなものだ。
津田沼生まれの浩介にとって、電車の中で隣の男性の肩が触れたなどは仔細な事で、それをおかしいと思ったことすらない。
それに大学への通学にも使った、通いなれた東西線での出来事である。事を荒げる必要など全くない。
それよりも自分のことだ。これからどうなるんだろう。
浩介は自分の思考の中に沈んでいった。



津田浩介は26歳。茅場町にある独立系大手ソフト会社でシステムエンジニアとして働いている。
都内の大学をストレートに卒業後、今の会社に入ったので、もう5年目だ。
システムエンジニアと言っても浩介はバリバリにプログラムを書けるという部類ではない。
あれとこれを組み合わせて、エッセンスをちょいと加えればはい出来上がりというような、大まかな設計と提案が中心で、つまり浩介は企画と営業に近い仕事をしていた。
浩介の配属された部署ではみながそうした仕事をしており、先輩たちに鍛えられ浩介も最近では小規模な案件について一人で任される様になっていた。

浩介と共に大量に採用された同期社員たちは、1年目の研修完了後に客先や子会社に配置されてしまったので、今、本社に残っている同期はほんの数名程度になる。
飛ばされた連中は、きっとそれぞれの行き先で一生懸命プログラムコードを追っかけているのだろう。
もちろん浩介にしても上司の覚え一つでいつ飛ばされてしまうかは分からないが、それでも5年目の今も本社に残っているということは、それなりに出世レースに乗っているとも言える。

ハロー効果って知ってるか?
本社は大型案件が多いからさ
交渉のために見た目の良いやつを残すんだよ。
もちろん、腕前とか知識もいるんだろうけどな・・・

いつだったか転籍を打診された同期の一人が浩介にそう言い残して去っていった。
悔し紛れだったのかもしれないが、そう言われて本社内を見回してみると、たしかに若手には美男美女が多いようにも感じられる。
浩介自身、学生時代にはサークル仲間から「松田翔太」に似ていると言われたことがある。
力強い切れ長の目とクールなところ。そして細マッチョでしゅっとしたスタイルがそう言わせたのかもしれない。

見た目が有利に働くならそれはそれで良いことじゃないか。

浩介はそう思った。
実際、学生時代も所属する山登りサークルに集った山ガールたちといくつかの楽しい思い出を作っていた。
言われるまでもなく、浩介は自分の見た目と人に与える影響について十分理解していたのである。
 
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2015/08/21

浩介が悩んでいるのは中出しをしたからだ。それも会社の女子社員に。



怖いもーのなんてなーい。僕らはもう一人じゃなーい。

津田浩介は電車の中で目を瞑り、イヤホンでお気に入りの曲を聞き流していたのだが、いつも聞き慣れていたこのフレーズにいらっとしたものを感じた。

馬鹿。一人の方がマシだ。

浩介は心の中でつぶやいた。
もちろん、馬鹿という言葉は自分に対して向けられたもので、自嘲を含んでいる。
金曜の夜、多くの人が土日の休みを控えてうきうきわくわくと感じているこの時間に、浩介の心は暗く深く沈んでいた。
先ほどから漠然とした不安が頭の中を駆け巡っているが、もっともその理由は明らかだった。
つい先日、中出しをしたからだ。それも会社の女子社員に。
浩介は思考の渦に巻き込まれた。

なんだってんだ、ちくしょう。まったく。
世の中には中出しの映像が溢れかえっている。
ちょっと画像検索すると、モザイクなしのまんこから精液が流れ出してる写真なんか簡単に見つかる。
ビデオだって今は無料で見られるサイトがたくさんある。
あ、あ、あ、と嬉しそうに悶える女性の顔。
性器の結合部がアップになると、金玉がきゅっと収縮
まんこに深く突き刺さったペニスの竿の部分がどくんどくんと精液を排出。
女が落ち着くのを待って、ぬらっとペニスを引き抜くと、白濁した精液が申し訳なさそうに流れ出す。
そんなビデオはこれまでだって何度も見てきた。
いっぱい出たねなんて嬉しそうな女の子の顔のアップが最後に付くのもよくある演出だ。
しかし他人の行為を自分に重ね合わせて見るのと、自分が実際に中出しするのはまったくの別物だ。

いっぱい出たねなんてハッピーなセックスはそうあるもんじゃない。
そりゃ愛のあるセックスなら中出しというのも美しい行為だろう。
君に決めた。あなたに決めた。二人で命を育もう。
ああ素敵、どっくんどっくん。
それは後悔のない、ピュアで素晴らしい射精だろう。
だが今後の自分には、そんな射精はもう経験できない。
これがまったく知らない行きずりの女だったら逃げ通すこともできるかもしれない。
だがそれもダメだ。会社の先輩だ。

先輩のまさかの妊娠、出産ともなれば結婚まで考えなければならない。
それを断れば争いが起きるだろう。当然、会社にもばれる。
訴訟、さらに慰謝料なんてことになれば、生活も終わるかもしれない。
俺はまだ26歳だっていうのに。

それに・・・


浩介が沈み、心を悩ませている相手の女性というのが会社の先輩社員、上原梢だった。
上原梢は、ちょっと井川遥にも似たお姉さん風の美人社員だ。
同じフロアに勤務していることもあり、浩介が現在の課に配置された当初は、お近づきになりたい女性社員のベスト5に入っていた。
だが年齢が6つも上であることを知り、また噂話で上原がバツイチであることや、小学校に通う子供がいることなどを聞いてしまってからは、単なる美人の先輩程度の位置付けに収まっていた。
それが酔った勢いとはいえ出張先で関係を持ってしまったのである。
そして思いもかけず中出し。。。

俺は26歳で子持ちになるのか。なっちゃうのか。
それも他人の子の!
できるのか!?
俺に。

こうして鬱々とする浩介を余所に、曲は明るくおちゃらけた女性ポップスに変わっていった。

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2015/08/20

このそもそもの間違いはプロジェクトに国広部長が口を挟んできたことに端を発する



このそもそもの間違いは、浩介が半年近く進めてきたプロジェクトに国広部長が口を挟んできたことに端を発する。

浩介は同じ課の先輩と男女共同参画に関するあるプロジェクトの企画立案に従事していた。
主に先輩と2人で詰めていったプロジェクトは無事遡上に乗り、関東の1県で採択されることとなった。
最終納期は1年後、金額もそこそこ付いて悪くない案件だった。
こうなれば後は横展開に持っていくというのは、会社にとって至極当然の選択である。
そこで、先輩と浩介は関東の他県にアポを取り、自ら説明をして回った。
各県に当たった感じ、どこも悪くない感触だった。
そこで更に業務拡大を行った。
東北と近畿には支社の担当者レベルで説明を行い、それぞれ県担当者に当たりをつけてもらうこととした。
そして今度はと、中国地方への説明を企画していたときに、第1開発部の国広部長から声をかけられたのである。

曰く、広島には直接自分が説明をしに行く。ついては前日に岡山にアポを取り、説明するところを見せて欲しい。君たちはその後、鳥取に行けばよい。とのことだった。

国広部長はもともと広島でソフト会社を興していた人物だ。
噂では、広島から岡山、山口と瀬戸内を中心に事業の手を広げ、200名規模の会社になったときに、突然、資金がショートした。
にっちもさっちも行かなくなっているところを、浩介が勤める会社が商圏ごと丸々買い取ったという風に聞いている。
急速に全国展開を進める独立系ソフト会社が地場の会社を吸収するというのはよくあることだ。
事実、今子の時点でも中部地方で吸収工作が進められていた。
そして、国広自身も自身の会社をバイアウトするだけでなく、今の会社に籍を移して開発部長として納まったということだ。

浩介は考えた。
国広としては故郷に錦を飾りたいのだろう。
彼の噂として、筋の良い案件を中国地方に持っていくときには何かとネタに絡んでくるという話を聞いたことがある。
しかし実際に国広は広島において顔役で、この案件が成約する確率を高めるだろうと思われたので、浩介はこの件に関して問題なしと判断した。
というのが、一般に中国五県というものの各県は地方に対する帰属意識が低く、例えば、岡山は兵庫を向いており、大きな市場である広島県さえ押さえれば他の3県はプロジェクトに乗ってくる可能性が高いからだ。

ただ、国広の指定した日というのがプロジェクトを一緒に進めてきた先輩にとって都合が悪く、どうしても外せない日と重なってしまった。
しかし、「お前ならもう大丈夫だろう」と先輩から太鼓判を押され、結局、岡山の説明会へは、国広部長、浩介、そして上原梢が向かうことになったのである。
そう。国広部長がわざわざ指定した日は、別件で国広と上原が広島・山口を回ることになっていた日なのだった。



岡山へは新幹線での移動となった。
東海道も近くなったもので今や3時間半もあれば岡山についてしまう。
午前中に全員が東京駅に集合すれば、午後遅くの会議には十分に間に合ってしまうのである。

行きの車内では国広部長と上原梢が隣掛けに座り、何やら資料をめくって打ち合わせを行っていた。
一方、浩介は慣れたもので、することもなく窓の外を眺めていた。

岡山では広島支社から応援に来てくれた営業の某がレンタカーを用意して待っていてくれた。
どうやらこの男は国広とは顔なじみらしく、車の中で何か懐かしそうに二人で話を広げていた。
この某という社員は、明日、浩介が鳥取に説明に行くのに同行してくれることにもなっていた。



岡山の説明会では、上原は資料を配ったり甲斐甲斐しく働き、国広部長は冗談を飛ばして場を和ませ、一方で浩介は流れるようにプレゼンを進めた。
これまで各県でさんざん行ってきた自分の企画のプレゼンである。浩介がミスをするはずもなかった。
担当者からの最後の質問も想定された範囲内で、カスタマイズの金額も概算をすらすらと伝えることができた。
まったく問題もない。一行はよく訓練されたチームのようだった。
 
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2015/08/19

やましい気持ちもなく、浩介が上原の鍵を覗き込むと部屋の番号は続き番号だった



岡山駅まで歩いて10分足らずの居酒屋で開かれた打ち上げでは、国広部長は終始ご機嫌であった。
津田君のプレゼンは本当に良いプレゼンだったと浩介を褒め、自分が行う明日の広島の説明もきっと上手くいくだろうと大いに酒をあおった。
浩介はそれほどお酒が飲めるほうではなかったが、褒められるとやはり嬉しく、いつもよりは飲みすぎてしまったようだ。
広島からやってきた営業の男は、太鼓持ちのように国広を持ち上げ、居酒屋の飲み放題の時間が終了すると二人して夜の街に消えていった。
上原が支払いを終え、領収を取って表に出ると、残っているのは浩介だけだった。

部長と鈴木さんは?
行っちゃいました。
あーやっぱりね。
追いかけますか?
津田君は?
いやー。もうお酒は良いかなって。
うん。あたしも。ホテルはこっちね。歩きましょう。

さほど長くない岡山の飲み屋の通りを二人して歩いた。
散々居酒屋で話したので、浩介には特段の話題も浮かばない。
上原も無言だった。
上原は大きな通りにぶつかると、スマホを取り出しホテル名をつぶやいた。
たぶん、GoogleMapかなにかで方向を確かめているのだろう。
スマホを手に左右に体を振った後に、上原は右に狙いをつけて歩き始めた。

どうですか、そっちのプロジェクトは。

浩介は何か話題を見つけようと上原に話を振った。

あーそう言えば津田君、流石だったね。部長も褒めてたけど。
あ、ありがとうございます。
うちのはねー。もうちょっと部長と詰めたいんだけど。ほら。
ああ。部長はあの調子ですからねえ(笑)
そうなの。今回は聞き取りで終わりそう。
ああ、そっか。それでこっちのを絡めて出張にしたのか。
津田君もそう思う?
まあ、そうっすね。
あ、あれ。あそこのホテルだわ。
ちかっ!
うん。駅に近いほうが便利かと思ってね。

会話も成立しないまま、今日泊まるホテルにたどり着いた。
2階のロビーに入り、浩介は上原と並んでチェックインを済ませた。
上原が残りの2人は遅れてチェックインすることを説明している間に、浩介はホテルの中を見ていたが、割と綺麗なホテルだった。

416か。浩介はエレベータに乗って4階のボタンを押した。
先輩、何階ですか。
私も4階よ。

別にいやらしい気持ちもなく浩介が上原の鍵を覗き込むと部屋の番号は続き番だった。
会社等で申し込むとホテル側が気を利かせて隣部屋同士にしてくれるのはよくあることだ。

禁煙・喫煙で分かれてるみたいね。
へえー。そうなんですね。

すると部長と、えーっとあの人。鈴木さんだっけな。あの二人は別の階に泊まるんだなあ。となんとなく浩介は思った。
ほどなくエレベータは4階に止まり、部屋番号を確かめつつ二人はそれぞれの部屋の前に着いた。

それじゃあ、先輩。おやすみなさい。
あ、明日は私たち8時には出るから。
僕ら10時の電車なんでゆっくりです。
そう。頑張って。
はい。先輩も。
おやすみなさい。
おやすみなさい。

鍵を回して、それぞれがそれぞれの部屋に消えていった。
これで終われば、なんということもなかったのだ。
そうこれで終われば・・・
 
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2015/08/18

これは襲っちゃっていいパターンですか?と浩介は上原を意識した



浩介は部屋に入るとまず空調をMAXに入れた。いつものことである。
そして服を脱ぎ、シャワーを浴びる。
気持ちのいい入浴を終えると、飛び散る水滴もかえりみずに裸で部屋に出てきて体を拭いた。
腕、足、股。拭いた先からみるみる体が乾いていく。
空調の乾いた冷たい風が、体表の水分を蒸発させて、体をすっと冷やすのだ。
大した楽しみもない出張先のホテルでは、浩介にとってこれが唯一の楽しみだった。
新しい下着に身を包み、ぺらぺらのバスローブのような部屋着を身につけると、浩介は冷蔵庫から冷たい水を一本抜いて、サイドボードの上のリモコンに手を伸ばした。
もう少しすれば11時のニュースだ。
チャンネルを変えつつ、お笑い番組を見るとはなく眺めていると、ノックの音がした。

ん?と思ってドアの方を眺めると、再びコンコンコンとノックの音がした。
なんだろうと思いドアに近づくと、その気配を察したか「津田君・・・」と押し殺したような声が聞こえた。
かなり小さいが間違いない。上原梢の声だった。

浩介はU字型のチェーンロックをかけたまま、細くドアを開いた。
ドアの隙間から覗くと、そこには部屋着に着替え、スリッパを履いた上原梢の姿があった。
きっと部屋の鍵を室内に置いたまま廊下に出てしまったのだろう。
上原のお間抜けぶりに苦笑しながら、浩介はチェーンロックを解き、ドアを開けた。

どうしたんすか(笑)

上原はそれには答えずに困ったような笑いを浮かべていた。
ま、ちょっと声が響きますから入ってください。浩介は小声でそう言い、上原を部屋に招きいれた。

上原を部屋の中に入れて正面から対峙すると、浩介は照れてしまった。
ホテルに備え付けの部屋着とは言え、女性と薄暗いホテルの部屋で向き合っているというのは妙に艶かしいものだ。
上原からは風呂上りの匂いさえ感じられた気がした。

浩介は上原の体から目線を外しながら「鍵ですか?」と聞いた。
体はもう向きなおして部屋の奥に向かっている。
上原はその後に続いて部屋の奥に入ってきた。

鍵? 鍵ならあるよ。ほら。

浩介が振り返ると上原が手に握った鍵を浩介に示していた。

え? じゃあなんで

と言う間もなく、上原は浩介が寝るはずだったベッドに腰掛けた。
上原の不思議な行動に、浩介はしかたなくサイドボードから椅子を取り出しそこに座った。
上原が丈の短いホテルの部屋着を着ているせいで、生足の膝の上くらいまでが薄明かりの下に晒されている。
部屋は間接照明のため、もちろん腿の奥までは見えないが、思わず覗き見たくなるような角度だった。
浩介からはテレビの灯りがあるので、上原の表情が良く見える。

上原からは逆光になるので、もしかしたら自分の視線には気がつかないのではないか。
それならもう少し覗き見たい。
浩介はそう考えたが、よく考えればベッドの枕元にも照明があり、こちらの表情も当然見られていることに気がついた。
危ない危ない。

それで?
うん。私、あまり出張に行かないでしょう?

何事もなかったかのように浩介は話しかけた。
上原も何事もなかったように、自分の話したいことを話し始めた。

そうですね。久しぶりですか?
そう。ホテルの部屋に一人って怖いのよ。

そう言われても、ビジネスホテルはシングルベッドがあるだけでソファもない。二人ではどうしようもないのである。
浩介が答えられずにいると、上原が言葉を続けた。

このホテル、照明も暗いし。
お化けですか?
いやー。やめてー。

本当におばけで当たっているのかどうかは兎も角、上原が胸の前で手を交差させた。
普通ならぶりっこと言われる仕草だろうが、上原の場合は可愛いとすら感じさせる。やはり美人は得だなと浩介は考えていた。
浩介は飲みかけのペットボトルに手をかけ、冷水を一気飲みした。

さーて。どうしますかねえ。

これはあれですか。襲っちゃっていいパターンですかー。
と浩介はうすぼんやりと先輩を意識し始めた。
 
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2015/08/17

その、津田君さえ良かったら・・・一緒に寝てくれると・・・



薄暗いビジネスホテルの部屋で津田浩介と上原梢は向き合って座っていた。
先輩社員の上原が一人では寝られないと部屋にやってきたため、浩介はどうしたものかと考えている。
浩介は、ベッドに腰掛けた上原の膝小僧とその奥の三角ゾーンにどうしても目がいってしまうのだった。

その、津田君さえ良かったら・・・一緒に寝てくれると・・・

上原が節目がちに言った。その表情は薄暗い間接照明ではいまいち読み取れない。
しかし、浩介はその時になってハッキリと明確に理解した。

これは誘われてるんだと。

美人とは言え他部署の先輩社員、そして出張中。
この2つのキーワードが、浩介の頭からセックスという言葉をギリギリ追い出していたのだ。
ただ考えてみれば上原梢は、部屋に入ってきてからおかしなことばかり言っている。
この年になって一人じゃ寝られないだの、お化けが怖いだのあり得ないだろう。
なんだそういうことか。
浩介のパンツの中で亀頭がむくりと起き上がり始めた。

一緒に寝るなんて会社の人にばれたりしたら大変ですよ。
だから、秘密ってことで。

椅子から腰を浮かせながら浩介が言うと上原が即答した。
自分の考えが当たっているかどうか分からないが、行動を起こしてみないことには分からない。
浩介はベッドに座る上原梢の横に腰掛けた。

秘密? 互いに秘密を守るなら何か約束しないと。
え、津田君。なに。約束って。

ここはもう一つくらい押さないと確信は得られないだろう。

そうだなー。キスくらい欲しいなー。
キス?
うん。
そう。

上原が髪を手でかきあげ、顔だけを浩介のほうに向けた。
目は瞑っている。
浩介も顔を近づけ、唇だけの軽いキスをした。ちゅ。
上原が顔を離そうとしたとき、浩介は上原の肩に手を回し再び引き寄せた。
上原は嫌がることなく再び顔を上げ、浩介とキスをした。
浩介が舌を差し込むと、上原もそれに応えた。
舌をからめあい、互いの口の中を交換するような下品なキスになった。
浩介の腕の中で上原の体が重たくなった。
浩介に体を許したということだろう。

秘密ですよね。
うん・・・秘密。

若い浩介は性急だった。
上原の気持ちが変わらない内に秘所までたどり着きたかった。
左手で上原の体を支えたままキスを続け、右手を上原の膝小僧に当てる。
上原が抵抗もなく膝を開いたので、浩介は太もも沿いに右手を秘所まで持っていった。
今までぴったりと閉じられていた太ももの内側は、風呂上りの熱を保っていたのかしっとりと汗ばんで熱かった。
浩介は上原のパンティの上からクリトリスと思わしき部分を擦り、下品なキスを続けた。
ぺちゃぺちゃと舌の絡まりあう音と、犬が甘えたときに発するような上原の鼻音が部屋に響いた。
浩介の手はすぐにパンティにもぐり、中指で膣穴を目指したが、この角度では太ももが邪魔をしてたどり着くのは難しい。

浩介は右手を戻して上原を抱き、体をひねって、ゆっくりと上原の体をベッドに横たえた。
そしてベッドの横に膝立ちになると、上原の薄いバスローブのような部屋着の下から手を入れ、パンティを脱がしにかかった。
上原梢はこれに協力して腰を浮かせ、小さなパンティはあっという間に太ももをすり抜けて浩介の手に落ちた。
レースのついた純白のパンティだった。クロッチの部分にわずかにシミがついている。
浩介はチラッとそれを見ると、ベッドの上に放り投げた。
布などどうでもいい。

浩介はベッドの端から所在なげに垂れ下がった上原の足をつかみ、膝を折りながら左右に開いた。
ベッドの端にしっかりと足を立てさせ、上原の足は綺麗なM字を描くことになった。
膝立ちの浩介の目の前に上原のぷっくりしたまんこが晒されていた。
 
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