いつものように店に出勤すると、破産申し立ての張り紙がしてあった。

宮本孝一は都内で6店舗のブティックを経営するアパレル社長だ。
ここ数年、本業は調子よく、六本木に居を構え、BMWを乗り回しと羽振りがいい。
宮本は今日、久々に満足のできるセックスを経験し、その余韻に浸っていた。
いい娘だったな。今度は長続きしそうだ。。。
間接照明のリビングから外の夜景を眺め、宮本は今の生活に一人満足した。
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宮本はもともと服飾専門学校の出だ。
可もなく不可もなくの商業高校に進み、同程度の女の子たちとの青春を過ごすうちにファッションに興味を持った。
高校卒業後は、すぐには働きたくないとの理由から服飾の専門学校に通うことにした。
宮本は168cmと若干背が低いのが難点だが、顔も小さく均整の取れた体つきをしていた。
顔の造作も整っており、専門学校の文化祭では同級生の作った服を着てモデルとしてウォークウェイを歩いたくらいだ。
俺の生きる道は服飾しかない
そう思い込んだ宮本は、神戸やその他にある大手の洋服メーカーの採用試験をかたっぱしから受けた。
しかしながら大手はそう甘くはなかった。
結局、都内に3店舗のブティックを経営する小さな会社の売り子として、社会人デビューすることになった。
数年勤めた後のある日、宮本がいつものように店に出勤すると、破産申し立ての張り紙がしてあった。
宮本にはその張り紙がなんのことやら分からず、いつものようにブティックの開店準備を進めていた。
そこにいかにもコテコテのヤクザ者がやってきた。
おい、兄ちゃん。なんしとんや。
なんすか。
この店は破産したんや。勝手にモノ売ったら困るがな。
はあ。。
兄ちゃん最近オーナー見たか。ここ来てないんか。
いえ。最近、オーナーには会ってません。
そうかー。困ったのう。
はあ。
分かった。兄ちゃんちょっと付き合ってんか。
字面だけ見ると優しいがヤクザ者の目は笑ってなかった。
自分が悪いことをしたわけでもないので
付いていっても殺されるようなことはないだろう。
宮本は腹を決めた。
というか、断るとその場で殺されそうだったからだ。
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