
タケシは津田沼駅のロータリーに車を突っ込んだ。
コンビニで立ち読みをして時間を調整したのだが、それでもやはり早くついてしまった。
(もっと停めやすいところねーかな)
夜風が肌寒いので助手席からアロハシャツを取り煙草に火をつけて、5,6歩歩き始めたときだった。
ビルの陰から10数人近い男女が現れ、ロータリーに停めたタケシの車に近づいてくるのが見えた。
若者らは聞き慣れない言葉で声を荒げ、タケシの車を指差した。
ち、面倒なのがきやがったなあ。
タケシが車を動かそうと運転席側に回ると、それよりも早く異国の若者らが車を囲んだ。
わーきゃー言いながら女の一人が手を伸ばしてジェットスキーに触ろうとするので、タケシは車のドアを離れ荷台に回った。
おい。触んなよ。
女がジェットスキーに伸ばした手をタケシが払うと、若者らはタケシを囲んだ。男と女の2重の輪だった。
そして口々に罵声のようなものを浴びせるが、何を言っているのかタケシには分からなかった。
異国の言葉だ。聞き慣れない言葉の間に「ずるい、ずるい」という単語が挟まる。
なにがズルイんだよ。馬鹿。
タケシを囲んだ集団の中でもひときわ背の高い男がタケシの目の前に立ち、火を吹くような勢いで罵り始めた。
うるせーなーこの馬鹿と、タケシが目線を横にやると、先ほどの女が荷台に乗り込もうとしているのが見えた。
あ、コラ!
半身をよじって一歩女に近づこうとした瞬間、タケシの後ろ頭に衝撃が走った。
一瞬で目の前が暗くなる。
・・・
ポケットをもぞもぞと探られる感触でタケシは目覚めた。
どうやらビルの隙間の薄暗がりに転がされているようだ。
目の前に金髪で目の釣りあがった男の顔があったので、タケシは右腕を振り上げ男を追い払った。
とその瞬間、鼻っ柱を激痛が襲い、まぶたの裏に紫の星が点滅した。
鼻を手で覆いながら薄目をあけて周りを見ると、先ほどの男の集団に囲まれているようだ。
おそらく横に立っている別の男からの顔面蹴りがヒットしたのであろう。
(くっそ。最悪だな。)
丸くなって転がるタケシのズボンに金髪が手を入れてきた。
タケシが抵抗すると、腹や背中に容赦のない蹴りが降り注いだ。
そのうち、ゴキンっと酷い音がして右足に激痛が走った。
タケシはうめいて転がったが、右足は動かなくなっていた。
ガランと重いプラスチックが転がる音がした。
ビールケースだろう。男らが笑い声を上げた。
先ほどの金髪がタケシの右ポケットから車のキーを引き抜き、勝ち誇ったように右手をかざした。
若者らは大声で歓声を上げた。
馬鹿野郎!返せよ!
タケシが身をよじって金髪の足にしがみつくと、周りからまたもや蹴りが降り注いだ。
その蹴りは、タケシの頭と言わず首、手のひら、ひじ、ひざ、そして折れているであろう右足にも容赦なくつき刺さった。
異国の集団は、タケシが完全に動かなくなるまで蹴り続けた。
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