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2014/08/14

どうせ俺は一人なのだ。家族の居ない部屋で自棄酒をかっくらう。



玉田は心の病気が完治せず、躁鬱の気が激しかった。
会社にああしろこうしろと五月蝿く指示する人間はいない。
閑職なのであるから、給料なりにのんびり過ごすという選択肢もあるのだ。
実際、同僚とも呼べない同僚は何人かで集まって談笑しているのだが
玉田は会社にいる間、ただ机に着き、鬱々悶々としていた。

たまにスマホでネット掲示板を覗き他人にねちこく絡むが
そんな掲示板でも玉田はあまり相手にされなかった。
そしてスマホも使いすぎると電池がなくなってしまう。
会社はスマホの充電を認めなかったので
一日中、ネットに逃げ込むわけにもいかなかった。
これが例え電源が切れたとしても
玉田に電話してくる者などいなかったのだが。。。

自分が誰にも必要とされないと自覚する生活を続け
半年が過ぎた頃、玉田は胸に痛みを覚えた。

肺ガンか。

タバコ好きの玉田は自分に寿命が来たのだと考えた。
そう言えば最近、咳も増えタンもよく出る。
息苦しくなることだってある。
ネットで調べると症状の一つ一つが当てはまるように思えた。
しかしこれは単なる勘違い、つまりグーグル症候群なのだが
玉田は肺ガンに間違いないと信じ込んだ。

何もかもなくして、日々楽しいこともなく
そして俺はとうとう死んでしまうのだ。
なんなんだ俺の人生は。
玉田は家族の居ない部屋で自棄酒をかっくらい一人暴れた。

もともとが優しい性格で、引っ込み思案
腕力が強いわけでも、押しが強いわけでもなく
今から転職して新しい世界に飛び込む勇気も無い。
いわゆる普通のサラリーマンであった玉田は
これまで単に人生を拗ねていただけなのだが
"死"を意識した瞬間から本格的に壊れた。

薬を飲む関係上、お酒は控えめにしていたのだが
毎日、ふらふらになるまで焼酎をかっくらうようになった。
頬がこけ、髪は伸び放題。ひげもあまり剃らなくなった。
顔は土色になり、目の焦点が合わなくなった。
そして徐々に思ったことを

心に留めることができなくなっていた。
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