宮本が連れて行かれたのは薄暗いビルの一室だった。
部屋の中にはあまり素性の宜しくなさそうな大人が数人たむろしており
宮本はその間を縫ってさらに奥の部屋に連れて行かれた。
奥の部屋は綺麗に片付いており、調度品などからいかにも社長室といった雰囲気だった。
宮本をさらってきたヤクザ者が、部屋の奥に座った人物のそばまでいって耳元でつぶやいた。
例の服屋ですがオーナーが捕まりません。
店を開けてた馬鹿がいたんで取り合えず連れてきました。
標準語じゃんか。部屋が狭いので丸聞こえである。
部屋の奥に座った人物はヤクザ者には見えない恰幅の良い男だった。
男は前かがみになって聞いてた。
君、名前は。
宮本です。
うん。宮本君、最近オーナーを見たかな。
いえ、見てません。
最後にいつ見た。
一週間くらい前で。売上げを持っていった日だから金曜です。
うん。そうか。
あのーなにか。
恰幅の良い紳士は、宮本の言葉を制すようにヤクザ者にごにょごにょ囁き、ヤクザ者は部屋から出て行った。
携帯電話を渡すんで電話が鳴ったら取ってくれ。
いえ、あの、僕は。。
心配するな俺がかける。それと今から3店舗を回ってスタッフにしばらく店にも会社にも近寄らないように伝えてくれないか。商品を売っちゃだめだ。いいね。
この状況が何なのかを聞こうとしたが、ヤクザ者が携帯電話を持って戻ってきて、有無を言わさずにそれを宮本の手に握らせた。まったく一も二もなかった。
部屋を出る間際、恰幅の良い紳士が宮本を呼び止めた。
あ、君。宮本君。
はい。
服を売るのは楽しいかね。
はい。僕は
うん。いい。それならいい。
宮本はそれ以上なにも言わせてもらえなかった。
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