あとから聞いた話では、その恰幅の良い紳士は松原という金主だった。
携帯電話による松原からの指示で、宮本は数週間、店や社員の監視を行った。
債権者会議では債権が松原に一本化されたようだ。
そこからの松原の動きは早かった。
全店舗の全ての商品を一夜の内に運び出しどこかへ売却
1店舗を売却、お洒落なビルに入っていた本部は契約を解約した。
その後で待機させていた社員を呼び寄せ
退職金として極わずかなお金を支払った。
宮本君、ちょっといいか。
帰りかけた宮本を松原が引きとめ、別室に連れて行かれた。
2店舗残してある。
はい。
宮本は店舗売却の際にどれを残すべきかの相談を松原から受けていた。
宮本はその時に、六本木を捨てて原宿と渋谷は残すべきと主張した。
そして店舗売却は宮本の行ったとおりになった。
君さ、洋服好きだって言ったな。
はい。
オーナーやってみるか。
えっ?
要はさっき退職金を支払った連中の中で使えるやつだけもう一度呼び戻して、宮本が残った2店舗を経営してみないかということだった。
松原さん。だけど売る商品がありません。
うん。だから君に五千万ほど貸してやろう。
僕なんか返せるかどうかも分かりませんし。
生命保険にも入ってもらう。受取人は俺だ。
・・・
やるかやらないか。返事は今くれ。
・・・
いやなら別の人間を充てるか、いなけりゃ売るだけだ。
宮本はこの年、25歳になろうとしていた。
今、世間に放り出されてすぐに再就職ができるかというと微妙だった。
おまけにオーナーという松原が投げた餌がとても魅力的に思えた。
そもそも宮本は前オーナーのセンスに懐疑的だったし
自分がバイヤーになれればもっとセンスの良い商品を仕入れるのにと日ごろから考えていたのだった。
やります。やらせてください。
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