順子は翌日も保健室登校をし、そして昼をだいぶ回った頃に浅村に全てを打ち明けた。
・・・ってわけで、友達が誰も居なくなっちゃったの。今、話できるのえっちゃんだけ。
そっかー。まだ中学だし色々あるよね。お母さんとかご家族には相談した?
そんなのできないよー。だって心配するし。
だよねー。でもさー中学の頃なんて全然世界狭いんだよー。
そうかもしれないけど私にとってはそれが全てだもん。家と学校、友達とか。
うん。分かる分かる。あそうだ。順ちゃん、ちょっと腕挙げてみて。
えー、私くさ、、
ま、いっからいっから。
スンスン。浅村が順子の腕を持ち強引に腋の匂いを嗅いだ。
ほらね。全然、匂ってないよー。
本当?
本当、本当。
えっちゃん、そうやって、、、わた、
違うって。アポクリン腺ってのがあってね。緊張するとスポーツなんかと違う汗をかくの。
アポクリン腺?
そう。順ちゃんの場合はそれが発達しただけ。別によくある話だから。
よくある?
うん。ホルモンのバランスが崩れたりとか、思春期にはよくあるのよ。
え、じゃあ、これって治るのかな?
んー。ホルモンバランスが安定すれば治ることもあるし、外科的にはレーザー治療でも治ると思ったけど。
本当?
うん。子ども、っていうと失礼だけど、成長期に一時的にそうなるケースってのは結構あるからね。
心配しなくていい?
うん。体の悩みは心配しなくていい。っていうか、むしろそのことで人間関係とかこじらせるのが問題なのよ。
そー。それ。でも私、どうしたら良いのかなあ。
大人の意見、言っても良い?
うん。
特別な人にならないことよね。
それどういうこと?
取り合えず今日で保健室登校が2日目じゃない。
うん
早目に教室に戻ったほうがいいと思うな。きついかもしれないけど。
それ。。。
だって、実際に匂うわけじゃないし、病気でもないし。
えっちゃんに迷惑だから?
迷惑じゃないよ。順ちゃんと話し楽しいし。でも、戻るべき。早目にね。
誰か話しかけてくれるかなあ。
最初はきついかもしれないけど、順ちゃんには魅力あるから。大丈夫。
そうかなあ。。。
戻らなきゃ。保健室に居たら友達には会えないよ。
そう言って浅村は笑いながら順子の背中をバンバンと叩いた。
しばらくすると怪我をした男の子が保健室を訪れたので、浅村との話は途中で終わった。
順子はそこから一人で考えた。
そうして導いた結論は、やはり教室に戻ろうということであった。
たしかに浅村の言うように特別な人になってしまっては事態は好転しない。
自分自身が立ち向かわなければ何も変わらないのである。
それにもし、どうしても一人になってしまったら、またここに来ればいい。
浅村と話せば一人じゃない。順子は勇気がわいてきた。
浅村が会議で保健室を離れると言うので、順子は気持ちを切り替え自習した。
そして下校時間前に戻ってきた浅村に、明日から普通に登校してみることを告げた。
そう。順ちゃんなら大丈夫。辛かったらまたおいで。ね。
浅村は満面の笑みを浮かべて順子をハグしてくれた。
大人の女性特有のふわっとした香りが順子を包み、順子は正しい決断をしたんだと確信した。
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