5月の夜、遠藤リカコは東西線に揺られていた。
金曜の夜だというのに車内はそれほど込み合ってなく、座ろうと思えば空いている席もいくつかあったのだが、リカコは出口近くのバーに背中を預けて立ち、外の景色を眺めていた。
今、リカコは恋人の楠木タケシの待つ津田沼へと向かっていた。
リカコは東京生まれだが電車で千葉方面に向かったことはあまりなかった。精々、ディズニーランドに遊びに行ったことがある程度だ。
(総武線の方が良かったのかなあ・・・)
待ち合わせは23時なので時間的には十分余裕があったが、慣れない駅での乗り換えは不安だった。
スマホで電車の接続を確認したついでに、先ほどタケシに送ったLINEのメッセージを見てみたが、既読はついていなかった。
既読になれば返事くらいはくれるはずなのだが。
(まだ挨拶が終わってないのかなあ・・・)
あまりタケシの仕事の邪魔をしてもいけないので追加のメッセージを送るのは気が引けた。
リカコはふうとため息を一つつき、再び窓の外の景色に目をやった。
リカコは新宿生まれの新宿育ち。ウィンドサーフィンが趣味の20歳の女子大生だ。
いや、ウィンドサーフィンへの思い入れは既に趣味の範疇を越え、いくつもの大会に出るなど将来はプロになりたいというくらいの惚れ込みぶりだった。
リカコの父親は貿易会社の役員をしており家庭的には裕福だった。
またリカコの父親自身も二級小型船舶免許を持つほどの海好きであり、プロウィンドサーファーになりたいというリカコの夢に口を出すことはなかった。
母親も「大学くらいは卒業しなさいね」と小言を言う程度で、大学の単位さえ落とさなければ口やかましいということもなかった。
活発で明るいリカコには大学での女友達も沢山いたが、チャラ男が集まったウィンドサークルにはいまいち馴染めなかった。
そのためリカコは、平日は真面目に大学に通う一方、休日は父親のお古のボルボワゴンにウィンドを乗せ湘南へと足繁く通っていた。
真面目にウィンドに取り組む、湘南の友達の輪のほうが気持ちよかったのである。
今の恋人の楠木タケシとは、去年の夏の始まりに、そんな湘南で出会ったのだった。
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コメント
いい天気が続きますねえ
というわけで、青空パッカーン! ビキニがボッヨーン! アクション バッキーン!のちょっと夢見る少女っぽいものを書いてみたいと思います。
2015-05-08 22:49 はるお URL 編集