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2015/05/20

あの二人付き合ってるんだろう?と勘違いされてた夏の終わりに告白してくれた



そんなこんなで知り合ったリカコとタケシであったが、リカコはすぐにタケシと付き合い始めたわけではなかった。
しかしリカコが湘南にウィンドの練習に行けば、必然的にタケシに会うことになる。
毎週のように顔を合わせてお喋りをしているうちに、リカコはタケシも悪いやつじゃないんだと思うようになった。

話してみるとタケシとリカコは同い年だった。ただしリカコの方が早生まれだったので学年的には一つ上だ。
リカコは、タケシの最初のナンパの印象が強くチャラ男と踏んでいたのだが、話し込んでみると意外に上下関係に厳しい、礼儀正しい男だと分かった。
高校生のように線が細く華奢に見えた体は、初日の喧嘩からも分かるように全身バネのようなぎゅうぎゅうに引き締まった筋肉で覆われていた。
手下を従えた乱暴者でもなく、それは、地元の若者からタケシさん、タケシさんと親しまれていることからも分かった。
海の家の馴染みのおばちゃんも「タケちゃんなら知ってるよー」と笑いながら色々な話を教えてくれた。
そうして色々な話をしていく内に、最初、幼く見えた顔も麦藁帽子を取ってみればリーゼントの決まった男前に見え始めたのだった。
そうして、周りからすると「もうあの二人付き合ってるんだろ?」と勘違いされてた夏の終わり
タケシが告白してくれた。

リカコと付き合いたいんだ。

夜の浜辺を二人で歩いているときに、前を歩いていたタケシが振り向きざまに言ってくれた。

遅いよ、馬鹿。もう夏、終わるよ。
いや、リカコ。馬鹿ってなんだよ。
だって馬鹿じゃん。鈍感。
鈍感って。それOKってことだよな?
何回も聞かない!
・・・ん。
なに?
キス。
馬鹿じゃない。
ん。
んんん。

抱きしめられてタケシと初めてのキスを交わしていると、ぴゅーっと音が鳴ってロケット花火が打ちあがり、海の上で弾けた。
花火は5本も、6本も上がった。
そして花火を発射してる方角からわーっと若者集団が飛び出してきた。

タケシさん、おくてー
ん?とか聞こえたよー
ぎゃっはっはー

タケシを慕う若いあんちゃん達だった。

てめーら見てたのかー。
絶対、今日だと思ったもんねー。
まて。おめーらー。
ぎゃっはっはー

タケシが後輩を追いかけて走っていってしまった。
もう、ムードもへったくれもないなあと、リカコは笑うしかなかった。
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