ねーさーん、ジェットスキー乗ってかなーい。
小麦色に焼けた肌、豊満な胸、スラリと伸びた肢体、長い髪を風になびかせて浜辺を闊歩するリカコはよくナンパされた。
この日も早朝からウィンドの練習をし、車で仮眠をとった後に、朝昼兼用のご飯を食べようと浜辺を歩いているところに声をかけられたのだった。
高い声に反応してふっとそちらの方を見ると、声の主はジェットスキー屋の店番のお兄ちゃんだった。
海に浮かれたヤンキーがこうして絡んでくることはあったが、店番のお兄ちゃんが声掛けしてくるのは珍しかった。
夏らしく真っ黒に焼けてはいるが、麦藁帽の下には幼さの残る可愛らしい顔。高校生だろうか。
あっはっは。ちゃんと仕事しなー(笑)
僕ちゃんの可愛い声掛けをリカコは笑っていなした。
海の家に着くとリカコは馴染みのおばちゃんのソース焼きそばを食べ、フローズンソーダを飲んで休憩した後、昼食時で忙しくなったお店の皿洗いを手伝った。
リカちゃん、いつも悪いねえ。
いいのよ、おばちゃん。あたし夕方まで暇だし。
今日は泊まるの?
うん。いつもの合宿所で雑魚寝。明日早いし(笑)
そうか。夜も食べにおいでよー。
うん。そうするかも(笑)
大学に入ってからずっと湘南に通い続けているリカコには地縁があった。もちろん湘南は地元ではないが、地元と同じくらいにこの土地を、そしてここに住む人たちが好きだった。
海の家も忙しい時間帯を抜けたので、リカコは皿洗いを終え、再び車に向かって浜辺を歩き始めた。太陽がじりじりと照りつけるこの時間帯の海辺も好きだった。
遠い遠い浜の端まで歩いていると、二人組みのヤンキーに声を掛けられた。
一人は金髪でTシャツに海パン。ネックレスがジャラジャラと音を立てそうに首からぶら下がっていた。
もう一人は長髪で、これでもかと体を焼いた真っ黒男。しかもジンベエ姿である。
(うわ。だっさ。)
ねえねえ。お姉さーん。一人じゃん。
俺らも東京から来て二人で寂しくてさあ。
そうそう。そういうわけ。よかったら遊ぼうよ。
いやー。あたし一人じゃないんで。
マジ? 良かった。じゃあ2対2で遊べるじゃん。
おま、それ最高。いえーい。
イエーイ。
いや全然。遊ばないですから。
ま、そんなこと言わないでさ。
お友達も紹介してよー。
ていうか、ちょ、離してください。
真っ黒男がリカコの腕を取ろうとしたので、リカコは両腕を上げて胸を隠し後ずさった。
その時、緊張するリカコの目の端に動く何かが映った。
金髪と真っ黒男のはるか向こうから、「キーン!」とか言いながら走ってくる麦藁帽だった。
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