性欲や勃起の言葉が出た時点で飯田と西村がなにかこそこそ話し合いを始めたが、それを制して羽月教授が江波の話に割って入った。
なるほど。先生の専門から見たお話はわかりました。ところでこの患者さん、シンタニさんは先生のお知り合いか何かですか。
はい。同級生です。
それで紹介状を書いて差し上げたと。同級生として、何か本人の口から症状はお聞きになりましたか?
はい。えっと。まず最初は頭がぼーっとすると。それから勃起が止まらないと言っていました。
その他は?
あーと、そうですね。性病の可能性はあると、本人が言っていました。
なるほど、それで下半身のMRIを撮ったということですね。
そうです。全身を撮ると高いですし、健康診断に付加して、まあ本人が気にしている部分くらい撮ってやればいいかとの判断でした。
江波先生、賢明な判断です。
飯田が合いの手を入れてくれた。
その他にシンタニさんに関する情報はありますか? 木谷さんはどうですか?
はい。楽しそうに話をされるんですが、その話がかみ合わなかったり、また急に黙り込んでしまったり、躁鬱の気があるのかなと思いました。あと体の動きも緩慢だったり、急に走り始めたり。そう言えば目の焦点が合ってないようにも感じました。
ほほう。
羽月教授の目が、江波に向いた。話を促しているのだろう。
昨日時点で木谷君の話を聞いて、私はすぐに薬物依存症を思い浮かべました。それで血液検査、尿検査に加えて乱用薬物検査をお願いしてあります。
分かりました。ではそれを見ていきましょう。
では、まず血液検査の結果を共有フォルダにお送りします。
江波はPCを操作して自分のアカウントから共有フォルダにデータを移した。これで各自の机に組み込まれたPCでファイルを見ることができる。その結果を覗き込みながら3人の医師が話し始めた。血液検査の結果はある程度、どんな科の医師でも判断できるものだ。
梅毒、肝炎なしか。
でもγ-GTPが高いな。ALTもASTも高い。肝機能障害ですかね。
肝障害が疑われる割には尿素窒素が高いままというのは?
分かりませんな。WBCも高い。CRPもですね。
やはり細菌感染症か炎症は起きてると考えるべきですね。
脳の状態と考え合わせると、薬剤性肝障害と考えるのが合理的ですよ。
江波も割って入った。羽月教授と飯田が顔を上げ江波を見つめたが、西村だけは顔を上げずに血液検査の結果を見続けている。その西村が言った。
あ、羽月先生。やはりPSAが高いですよ。
皆がおおと叫び、再び画面にくぎ付けとなった。なんだなんだ。江波は気になった。
PSAが高いのがそんなに気になるんですか?
PSAが高くなるケースはいくつかありますが、前立腺が傷ついたときにもこれは起きます。酸化物質で前立腺の上皮組織が傷ついて、PSAが漏れてくるパターンです。
飯田がフォローしてくれたのでPSAのこと自体は分かった。だが、だから何だという話だ。下半身のMRIで前立腺肥大でも見つかったのか? それを教えて欲しいわけだが、俺はやはり蚊帳の外か。
では、尿検査の結果も送ります。自由にご覧ください。
江波は投げやりにファイルを共有フォルダに放り込んだ。
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