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2016/10/21

「線虫」医師の見立ての回(8)臨時カンファレンス



飯田が大スクリーンに新谷の下腹部のMRIを投影した。

まず経緯を話しますと、昨日、放射線科の三島技師からこのファイルが送られてきました。同時に江波先生からもお願いのメールが届きましたので一応開いてみたわけです。

飯田がちらっとこちらを見たので、江波は頷いた。

三島技師がおかしいと思ったように、一見して私もこのMRIはおかしいと思いました。ただ私は、外生殖器に対する治療を主としておりまして、内生殖器については格別に得意としているところではありません。それで、羽月教授の許しを頂いて、循環器内科の西村先生に所見をお願いしたということになります。
うん。話を受け継ぎましょう。

西村が話を引き取った。一方で江波はがっかりしていた。使えないのはお前だったか。飯田。まあいい。西村先生のお手並み拝見といくか。

インターンの木谷さんもいらっしゃいますので、少し説明を加えながら進めますね。外生殖器。これはペニスと陰嚢のことを言います。この2つは射精のために管でつながっていますが、それを取り巻く器官を内生殖器と言います。ここまでは良いですね。

木谷が頷き、西村はMRIの3D画像をくりくりと動かし始めた。

陰嚢の中には精巣と精巣上体があり、ここから精管が出ています。精管は膀胱の上をぐるっと回って膀胱の下で尿道へとつながりますが、その直前にここ、精嚢があり、また尿道とつながる直前の精管、ここを前立腺が覆っています。さて、お気づきになりましたか?

江波も専門ではないが、学生の頃は一通り習ったので、男性生殖器の構造自体はなんとなく頭に入っている。だが今の説明でMRIを見せられても、どこが問題なのかは分からなかった。

構造は分かりますが、専門ではないのでさっぱりです。
すみません。私も分かりません。

二人して答えた。

ではここをご覧ください。ここからここまで。精管は大体長さ40㎝にも及びますが、ここ、精巣上体のあたりから前立腺にかけて、時々途切れますが、白いひも状のものが見えるでしょう。恐らくサイズにして1mm程度の何か。
何かってっていうのは随分抽象的ですが、何なんですか。
恐らく虫です。

江波と木谷は口をあんぐりと開けた。しかし聞かずにはいられない。

精管に虫がいるなんて聞いたこともない。
そうでしょうね。我々ですら初耳です。
線虫・・・
あ、木谷さん。今、線虫と仰いましたね。私もその意見に賛成です。それで羽月教授と飯田先生と私で、昨夜から文献を調べたのですが、やはりこうしたケースについてなんの文献も見つかりませんでした。なので江波先生を呼び出して色々伺おうということになったのですよ。今回のお話しの中でさらに色々と興味深い仮説を立てることができました。
そ、その仮説を教えてください。
ええ。その前のもう少しMRIについて説明しましょう。私も見慣れない紐一本で虫と決めつけたわけではありませんので。このMRIにはもっとまずいものが映っています。
(なんだ。他に何が映ってる?)
この辺り、精巣上体ですが、何か小さな粒が見えますね。通常、こんなところに粒はありません。線虫だという可能性を考えると、恐らく卵か幼虫になります。
(金玉の中に虫の卵が入ってるのか。吐きそうだ。)
あと、この部分。
(まだあるのか)
精嚢には2㎝未満の糸状の幼虫が束になっています。
 
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