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2015/07/12

昨夜は高橋が所属する部署の新人歓迎会だった



5月の夜、高橋亮介は電車の座席に座り、腕を組んで目をつぶっていた。
高橋の家へと向かうその夜の東西線はたいした混みようでもなく、立つ人の影もまばらであった。

高橋は寝ていたわけでも、人からの目線を避けていたわけでもなく、ただ目を瞑り昨夜の思いも寄らない情事を詳細に反芻しながら、密かに股間を勃起させているのだった。
高橋のペニスははちきれんばかりに勃起し、トランクスの布を引っ張りあげていたが、誰かが特段に注目しない限りズボンの皺に紛れて、その怒張には気がつかないだろう。
そう思い高橋は安心して布に擦れる亀頭の感触を味わっていた。

(それにしてもいい女だった)

高橋は、昨夜嗅いだ前島詩織の髪の匂いを思い出そうとしていた。

・・・

昨夜は高橋が所属する部署の新人歓迎会だった。
高橋の勤め先は精密機器の商社で、業界の中では中堅クラスだが、ごく一部の特殊な機械の扱いには定評があり、業績は安定、子会社も多く抱える一流企業と言って差し支えのない会社だった。
高橋はその会社のもっとも大きな部署で一つの課を任されている課長だ。
本社に勤める同期の中で今時点、課長職にまでたどり着いているのは高橋だけなので、出世頭と言って良いだろう。
高橋は風貌も人当たりもよく、部下を使うのがうまい。社内では切れ者という評判も得ていた。
高橋にしてみれば、仕事を覚えたての頃についた上長とプロジェクトに恵まれただけで、周りが過大評価をしているだけだと感じることも多かったが、ともあれ期待を裏切るわけにはいかないと仕事にまい進する日々だった。

そんな中、昨日、ホテルのホールを貸しきって、部員全員参加の新人歓迎会が行われた。
新人と言っても本当の新卒あり、子会社からの出向社員ありで、とにかく4月から同じ部署で働き始めた者を歓迎しようという趣旨の大歓迎会だった。
高橋の課にも新卒男子1名と子会社から2名の出向社員が新たに充てられていた。
前島詩織は子会社から上がってきた二人の内の一人だった。
 
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