恵理子が助手席に乗り込むと黒のBMWは音も無く発車した。
車は晴海方面へ進路を変え、いくつかの交差点を過ぎていく。
どうにも自分の想像を超えて話が進んでいってる。
恵理子は沈黙に耐え切れなくなった。
あのー
うん
違うんです。
うん?
待ち合わせじゃないんです。ごめんなさい。
…
あれですよね。どなたかと待ち合わせ…だったんですよね。
…
これで男が怒って車を止めてくれれば幸いだ。
ここら辺で怒られても道端に落としてくれるのならまだ余裕で帰れる。
だが車は止まらなかった。
あのー…
うん。違うかなと思ったんだ。約束の服装と違ったしね。
男が視線を変えずにつぶやいた。
それらしい人もいたけど、君のほうが好みだったんで先に声かけた。
…
恵理子が返事をしないでいると男が笑った。
じゃあさ、食事にでも行こう。デート。それならいいだろう?
恵理子はまだ遠慮したが少し気が楽になり、それならと答えた。
恵理子の返事から2つ先の交差点で車は大きく方向を変え渋谷を目指した。
車の中では少しずつだがたわいない会話が成立し始めた。
そこで恵理子は思い切って聞いてみた。
あれってやっぱりアレだったんですよね。
アレって?
あれです。本屋。
出会い系?
そう。
そう。
そうなんだ。
そういう日もあるよ。
格好よくてもお金持ちでも男は男なんだなあ
恵理子は助手席でそう思っていた。
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