もうちょっと、もうちょっと強く、ああ
他人に頭を洗ってもらうのは気持ちがいいものだ。ましてや母親のごとく優しく接してくれ、しかも可愛いくて自分が気に入っている女性となればそれは格別なものだった。寺島さんと二人きりの専用のシャンプー室で祐樹は甘えに甘えた。病院特有の消毒液の匂いがする少し湿った空気のこの部屋で、寺島はかれこれ10分は祐樹の頭と格闘していた。
じゃあ流すね。
あ、後ろ。首のところもお願いします。
あー。うん。そうね。
寺島が右手で祐樹の後ろ頭を抱え、左手で優しく首の後ろの髪の生え際あたりをこすり始めた。
その時、祐樹は気がついてしまった。
(あれ。これ今、俺、抱きかかえられてる。)
そうだ。
きっとこの体勢なら右の頬のそば、すぐのところに寺島さんの胸があるはず。
タオルで目隠しされている分、この想像は祐樹の中でどんどん膨らんでいった。
いやいやダメだ。こんなところでチンコを膨らましちゃいけない。
だってこれ見つかったら相当格好悪いぞ。
あ、でも寺島さんの匂いくらい嗅ぎたいな。
入院生活というのは不思議なもので、病院の真っ白な壁に囲まれていると不思議と性欲は薄くなっていく。あのナースが可愛い、このナースが可愛いという気持ちくらいは残るものの、チンコが膨らむほどの妄想というのはなかなかしなくなるのだ。それは自分が病人であるという自覚がそうさせるのかもしれないし、職員や医師の事務的な対応から自分が一患者に過ぎないと自覚させられるのかもしれないし、もしかしたら病院食には性欲減退の薬でも入っているのかもしれない。
とは言え、このシチュエーションは二度とあるものではない。
寺島の化粧品か香水の香りでも嗅ぐことができれば、夜、こっそり外来のトイレまで降りて、その芳香をネタに9日ぶりのオナニーに浸りたいと祐樹は考えた。祐樹は気がつかれない程度に頭を右に傾け、普通の呼吸を保ったまま、こっそりと寺島の体臭を嗅いだ。鼻に神経を集中させて息を吸い込んだとき、消毒液の匂いと共に祐樹の鼻に飛び込んできたのは、ほんのりと香るどぶの匂いだった。
えっ!っと思った祐樹は思わず鼻をスンスンと鳴らし、二度嗅ぎしてしまった。
一瞬、寺島の手の動きが止まった。
しっかりと神経を集中させて、祐樹の鼻孔が捕らえたその香りは、もちろんどぶの匂いではなかった。2日くらいお風呂に入らなかったときの自分の腋に、鉛筆の芯を擦りこみ、たまねぎのスライスをトッピングした香りと表現すればわりと近いだろうか。
寺島さん腋臭かあ。普段は分かんなかったなあ。軽い奴かな。この距離だもんな。
でも、今、思いっきり嗅いだから、気がつかれたと思って顔真っ赤にしてるかも。
ここで臭くないっすよってのも失礼だし。それほど嫌なにおいでもないし。
祐樹が頭の中で対応を考えていると、寺島の手が完全に止まった。
ちょっと待っててね。
祐樹の頭をカバーのかかった椅子の枕にゆっくりと戻すと、寺島がそばから離れていくのが分かった。シャッとカーテンの閉まる音が聞こえ、微かな衣擦れの音の後に、パリパリと何かの袋を破っている音が聞こえた。
制汗用のシートで腋拭いてるんだなあ。
タオルで目隠しをされ洗髪椅子の上に寝転がった状態で、祐樹はぼんやりと寺島順子のその姿を想像した。
上半身だけナース服を脱ぎ、片腕を上げて、困ったような顔で自分の腋を確認しながら、制汗シートで腋をぬぐっているナース。コンプレックスかあ。きっとあるよなあ。と考えていると、不意に祐樹のペニスが反応を始めた。防水カバーの下から手を伸ばしこっそりと触ってみると、それはだぶだぶのパジャマであっても隠し切れないほどに怒張していた。
カンッと金属のゴミ箱がしまる音が響き、祐樹の足元の方から寺島が戻ってくるのが雰囲気で分かった。
やばい。これ気づかれるよ。。。
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