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2005/10/14

スケッチブック



誰でも心の痛む思い出を抱えてると思う。
僕の場合はこんな感じ。


これも田舎に戻ってから一ヶ月以内の話だ。
新人歓迎会が終わって僕は夜遅くにBar BUBBLEに顔を出した。
その日は常連さんは一人もおらず、僕はカウンターの端でバイト君を相手に飲んでいたのだが、
その内、隣に座っていた色白で細みの綺麗な女性と仲良くなった。

話は大いに盛り上がり、お兄さん一体どこに住んでるのという話になったので、
僕はバイト君から紙をもらい、こう行ってこう行って、ここを曲がったところにある
結構綺麗なマンションだよと、図を書いて説明をした。

その子はしばらく不思議そうな顔をしていたが
「それって○○って言うんでしょ」とマンションの名前をずばり言い当ててきた。
これが知子との出逢いだった。
 

僕はそのマンションの3階に住んでいたが、知子は5階に住んでいるのだった。
なんだーということでその日は遠い道のりを一緒に歩いて帰り、
エレベータの前でおやすみーと別れた。

電話番号の交換はしたものの、
彼女とはずーとそのまま1年以上単なる友人だった。
ま、一つには彼女が飲み屋勤めで、若い身空でこんなマンションに入っているからには、
スポンサーが付いてるからだろうと僕が勘繰ったというのもある。



ある日曜日の夕方うちの電話が鳴った。
知子からだった。
今日は仕事が休みだし
ビデオを2本借りてきたので一緒に見ようという提案だった。
それ以前にもCDの貸し借りなんかはあったし、
いつものことだろうとウイスキー片手に5階の知子の部屋を訪れた。
彼女は手間暇かけたつまみとビール、
ビデオを用意して僕を待っていてくれた。

彼女はビデオを見る時はいつも電気を消すのと言って、照明を落とした。
また、ビデオが始まってからも態勢が固まらないのか、
ソファの僕の横に座っては、ベッドに移動し、
今度はソファの前にあぐらをかいて座りと、
始終落ち着かない様子だった。

僕はと言えば、そんな彼女には全くお構い無しだった。
彼女の料理は相当美味しく、
家庭料理に目が無い僕はそれに夢中だった。
また彼女が借りてきたビデオ「永遠に美しく」と「サボテンブラザーズ」も
僕の壷にすっかりはまり、僕はビデオ鑑賞会を存分に堪能したのだった。



「永遠に美しく」のエンディングが流れ始めた頃、時間は11時を少し回っていた。
僕は「いやー、遅くまでゴメンね。料理も美味しかったし、ありがとう。
お皿はキッチンで良いかい?」と裏の無い言葉を知子に投げかけた。
その時の知子はベッドの上で、枕を膝に抱え、
ぼんやりとエンドロールを眺めている状態だった。
照明を元の位置に戻し、お皿を運ぼうとテーブルに降り返った瞬間、
僕の足元に枕が飛んできた。


「あたしってそんなに魅力無い?」


この言葉は寝耳に水だった。
そうか、考えてみればおかしな行動だらけだ。
独身男性を部屋に招き入れ、
電気を消して、
一つ屋根の下。
彼女の行動は落ち着かず、
今じゃベッドにまで上がってるじゃないか。

殆どヤリチン野郎の僕だけど、
一旦相手が「友人」の範疇に入ってしまうと、
そういう目でしか見なくなるから、
例えると妹がそこらでゴロゴロしてる感じにしか思わないもんだ。
でも、それは言葉に出来ない彼女の精一杯のアピールだったって訳だ。

かなり驚いたのだが、事実彼女は魅力的な女性だったので、
僕はベッドに行くと
「そんなこと無いよ。じゃあお風呂に入ってから僕の部屋へおいで」
と軽くおでこにキスをした。

僕の部屋に呼んだのは、まだ見ぬパパが怖かったからだ。




日頃、お店のお客さんに対抗するためにガラッパチを気取ってる
知子の内面は繊細で感受性の強い娘だった。
女性の2面性については前にも触れたが、
御多分に洩れず知子もSEXには積極的な性格だった。
多分に相手に気持ちが入り込み易い繊細な子は、
その相手を喜ばせる意味でもSEXに積極的になる傾向があるのかも知れない。
もしくは全くその逆で、
SEXでのみ自分を開放しているという考えも外れてはいないだろう。
いずれにしても知子のSEXは濃厚だった。


若さゆえか舌技は30分以上続き僕をうならせた。
嫌いだったら口でなんか出来ないのよと
僕のそそり立つものを頬にこすりつけ、
こちらを睨んだ時には、
舌技以上の喜びを感じた。

挿入して「あなたのはどうしてこんなに気持ち良いの…」
と言われた時には、誰と比べてんだよと突っ込みたくなったが、
奇しくも知子が言うように僕らの性器の相性は抜群だった。

経験上、回数を重ねる度に相性が出来あがって行くことを僕は知っているが、
知子との場合は初めからピッタリと合わさっていた。
彼女の勢いに翻弄され、僕はすっかり腑抜けのでく人形のようだった。

そして彼女は大量の愛液を吹きあげ、真っ白な世界を漂うのが日課となっていった。




知子が寝物語に話してくれたことによれば、
彼女のお父さんは割と大きな会社の経営者で、
このマンションは本当のお父さんが買ってくれたとのこと。
また、彼女は歯科衛生士の免許を持っていて、
親には歯医者に勤めていると嘘をついているということ。
だから僕が考えているようなパパはいないよということだった。
そうして僕らは普通に付き合っていくようになった。



彼女は水彩画が得意で、週末には二人で小旅行に行き、
そこで描いた絵はスケッチブックに徐々に溜まって行った。
僕も絵心が無かった訳じゃないが彼女の腕には到底及ばず、
たまに一枚もらって隣で絵の具をこねくり回したりしようものなら、
通りがかりの人から失笑を買うのが関の山だった。
僕はあきらめ、画用紙を丸めるか破り捨てようとするのだが、
その度に知子は通行人に悪態をつき、
僕の絵の良いところを無理矢理に見つけ出しては、
すごいよ、絶対才能あるもんと勇気付け、
だからもう一回一緒に描こう?と
猫みたいに体を擦りつけておねだりをした。


互いに一人暮しの気楽さも堪能し、会いたい時にはいつでも会える。
僕らは本当に楽しい時間を共有できてたと思う。
でも僕の知らないところで、別れは着実に近づいていたんだ…



ある日のこと、知子が泣きながら僕の部屋にやって来た。
来月から僕らは会えなくなるという。
理由を聞いた。
知子が良いとこのお嬢さんだという話はどうやら本当だったようで、
半年後にお見合いをするという。
相手は父親の選んだ人で、商取引のある会社の僕ちゃんなんだそうだ。
その為に、このマンションを引き払い、
父親の会社に入り、
実家から通うということらしい。

僕は憤慨した。

今時、政略結婚なんかクソ食らえだ。
知子争奪には僕だって立ち上がる権利がある。
クソ親父をぎゃふんと言わせてやるさ。

だが僕のその思いは他ならぬ知子によって封じられた。
知子の話によれば、このことは何年も前に決っていたとのことだった。
だが当時は知子も若く、父親も人生の経験をさせてからと、
一人暮し用にマンションを買い与え、自分で生活をさせていたということだった。


待てよ、
じゃあ、いよいよ結婚が差し迫り、
取り合えず手近な僕で最後のアバンチュールを楽しんだってことなのか?

口にこそ出さなかったが、頭の中に色々な考えが巡った。
楽しかった時間の全てが嘘っぱちに思え、冷静な判断を欠いた。
そんな風に利用された自分も情けなくて涙が出そうだった。
馬鹿な僕には彼女の立場や気持ちを分かってやれる余裕なんか全くなかったんだ。

「悪いけど帰ってくれるか…」

僕は混乱していて、その時はそれ以外に言葉がみつからなかった。




知子の引越しは春先だった。
僕は引っ越していく知子の姿を見たくなかったので
社内で薦められていた海外視察の空き枠に手を挙げ自ら参加することにした。
2週間弱の出張に疲れ帰ってくると部屋のポストに薄い包みが差し込まれている。
開けてみると僕らのスケッチブックだった。

何を今更。

僕は窓を開けて部屋に空気を入れてからベッドに腰かけ、それをパラパラめくってみた。
それには手紙もメッセージも添えられてなかったが、
旅先で破り捨てたはずの僕の絵がしわを伸ばしテープで修復されて日付順に綴じてあった。
画用紙を拾い集め、家に戻ってからこっそりとテープを張ってる知子の姿が目に浮かんだ。
いつか驚かせてやろうとニコニコしながらテープを張ってる姿だ・・・
僕は少しだけ泣いた。



 
そうして僕の手元には捨てられないスケッチブックと、
最後に見た知子の泣き顔だけが残ったんだ。

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コメント

非公開コメント

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

ほいほい、あけおめことよろです。
遅くなってごめんね。

寒くなったのに、このサイトは激熱ですね!
下半身がホテッテきましたよ~!HGのように腰を
高速回転させてガンガン使いたいですね~♪
実はHGは女好きでここでフォーしてますよ!
http://kimochi-ii.net/weblog/

あとこれも好きかも♪

ありがとうございます。

・・・切なすぎます(;_;)
でも彼女の気持ちは本当だったと思います

ペンギンさん、ありがとうございます。
もう、ずいぶん昔の話なんですよね。思い出は美しくなっちゃうのかも知れません。
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