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2005/10/17

最後の夜



卒業って言葉を聞くと思い出す。本当に大人の女性でした。
僕は立派にはなれなかったけどね。


大学卒業を明後日に控えた日。
お世話になった女性達との別れは先週の内に済ませ、部屋の荷物は就職先の地方都市に送り、
親元にも卒業式の翌日に顔を出せば良いっていう状態になってた。
糸の切れた凧状態の僕は、僕の大学時代の唯一の根っことも言える"Bar BUBBLE"で最後の御奉公をしてた。
僕が卒業するって事で、これまでにもお世話になった方々が大勢集まってくれ、僕は良い気持ちで酔っ払っていた。
そんな時に久美子さんは店に現れた。
彼女は消防学校の事務職で前からの顔見知り、大抵は仲の良い御夫婦と連れだって3人で来るのが常だった。


ハッキリ言おう。

彼女はスタイル、美貌、センス、雰囲気、性格、どれを取っても素晴らしいの一言なんだ。
大抵の男は引いてしまうと思うけど、従業員の顔している僕は気軽に話かけることが出来る立場にある。
僕は早速カウンターの中から声をかけた。「あれ、今日はお一人なんですか?」
いつもの様に待ち合わせたのだけれども、彼女だけ早く到着したらしかった。

僕の為に集まってくれて、僕をほったらかしてドンチャン騒ぎをしている常連連中を一つところに追いやり、
僕はカウンター端の一番良い席を彼女にしつらえた。
「僕、明後日、卒業なんですよ。今日、久美子さんにお会い出来て良かった…」
酔っ払ってもいたし、何より僕は糸の切れたタコ助。
口からは幾らでも言葉が溢れてきた。

僕はカウンターべったりの接客で、彼女の待ち合わせの御夫婦が現れるわずか数分前に
今日の0時、ビル下の駐車場で彼女と待ち合わせる約束を得た。
久美子さんは2次会で御夫婦と別れた後、駐車場に来てくれると約束してくれた。
ところでこれって飲みに行こうという約束ではなかったように思う。
ってことはセックスしよう!みたいなことを直接言ったんだろうか。
未だによくそんな約束が出来たと思うのだが、実際のところは謎だ。

さて約束の0時が近づいた。
僕は引きとめる常連連中を尻目に一目散にエレベータに飛び乗り、地下の駐車場へ急いだ。
まだ早かったかなと思い駐車場内に目を凝らしていると、物陰から人が飛び出してきた。
わっと驚いたがその人影は誰あろう久美子さん本人だった。
彼女は酔っ払いに絡まれるのが嫌だったのでちょっと隠れていたと言い、
僕を脅かしてしまったことを詫びた。
そんなの全然気にならない僕は店外であなたと話が出来ることを本当に嬉しく思う、
来てくれてありがとうという意味のお礼を言った。


それからどういう展開になったのか実は良く覚えていないというのが正直なところだが、
僕らはタクシーに乗り繁華街から一番近いホテルの前に来ていた。
僕はホテルに入り久美子さんも後ろに従った。
週末だったので満室に近かったのだが、唯一20,000の部屋が空いていた。
就職祝もあったしなにせ酔っ払って勢いがついてたものだから僕は迷わずその部屋を選択した。
僕らはエレベータの中でも手をつなぎ、目を合わせ、まるで昔からの付き合いのように微笑んでいた。
3部屋、ジェットバス、ボディソニック、大画面のTV、庭、まあ設備なんてどうでも良いや。
予め空調も効き間接照明に照らされた部屋は心地よかった。
僕らはソファになだれ込んだ。


ソファに座り僕は久美子さんに軽くキスをした。
まだ夢だと言われてもおかしく無い状況だと思ってた。
久美子さんの頬が紅潮してる。
キス一つで反応をいちいち見てしまう僕。
今度は久美子さんの髪の触感を確かめながら顔を近づけ、ソフトからハードなキスに移った。
久美子さんも舌で答えてくる。
僕は久美子さんの上着を片手で処理すると、ブラウスの上から胸のあたりをやさしく包み込むように触った。
「あ…」吐息が洩れた。
久美子さんは既に体の力を抜き、目をつぶり全ての触感を受けいれようとしていた。
僕は上からその姿を眺めていた。
ブラウスのボタンを徐々に外しタイトスカートのジップを下げてブラウスを抜き取ろうとした時、
久美子さんが言った「お風呂に入らせて…」
そうだ、洋服に皺が出来るのも困るだろうし、隅々まで綺麗にしておく事はより深い喜びにもつながるだろう。
僕も賛成した。
これだけ暗いし二人しか居ないからここで脱いで見せて欲しいと僕が言うと、
久美子さんは「恥ずかしい」と小さく言ったが反対もしなかった。
パンティを取る時だけは流石に躊躇を見せたが、それでも久美子さんは僕の目の前で全てをさらけ出した。


思っていた通り久美子さんのスタイルは素晴らしく、
雰囲気から来る気品や気高さは全裸になっても少しも変わることはなかった。
「綺麗だー」僕は逃げ様とする久美子さんを捕らえ、その引き締まったお腹にキスをした。
僕がシャワーを浴びて上がってくると久美子さんはもうベッドルームに移りシーツの中に潜っていた。
僕もベッドに移り枕もとの間接照明を少しだけ明るくした。
「よく見たいから」「恥ずかしい」シーツから少しだけ顔を出してこちらを見ていた久美子さんは、
それだけ言うとまたシーツの中に消えていった。
彼女を追いかけ僕の腕もシーツの海をさまよう。
久美子さんの腕を捕らえると優しく背中から彼女を抱きしめた。
一方で僕自身はとっくに膨張してて、その熱い固まりが久美子さんのパンティを後ろから押していた。
僕の腕の中で不意に彼女が向きを変えた。
正面を向きあった僕らは再び強く抱き合い、互いの髪を掌でまさぐりながらの長いキス…
再び洩れる吐息…



久美子さんは僕が思っていたよりもずっと経験豊富な女性で、僕が出す要求には100%答えてくれた。
彼女の雰囲気と相反するその行為は強烈で、今でも間接照明に照らされた丸くて白いお尻と
そこに秘められたピンクの蜜壷、股間ごしに揺れる胸を思い出す。
僕は何度も何度も彼女をむさぼった。
これが終わるとお別れだと思ったから…

窓から陽が差し込んでる…

太陽が昇り、再び髪を整えスーツに戻った彼女はいつもの貴婦人のような姿を取り戻していた。
僕は名残惜しく手をつないでホテルを出たんだけど
すぐ傍でタクシーを拾えたもんだから、
結局僕らは言葉少なに別れた。


その翌日、僕はどうってことなく普通に卒業式を迎えた。
そして「お仕事頑張って、立派な男の人になってね」って彼女の最後の言葉を胸に
僕は慣れ親しんだこの土地を去ったんだ。
 
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