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2005/10/01

博多のひと



コメントにも書いたけど最近の僕はちょっくら達観してんのよ。
だってエッチするだけがコミュニケーションじゃないじゃん。
ね?







夏の終わりに大学時代の友人が結婚した。
彼はとても明るい人柄でノリが良く、
勢いもある実に楽しい漢だ。

彼が九州に転勤してから3年ばっかしは顔を合わせてなかったが、
久々に披露宴で会ったやつの性格は何も変わっていなかった。

僕同様、彼の漢に惹かれ博多に集結した
浮かれ野郎どもは披露宴を大いに盛り上げ、
もちろん僕も
ヒンシュクを買うネタでそれに加速をつけたさ。




披露宴のノリそのまま2次会、3次会も勢いは止まらず、
男女入り乱れての30名弱は親不幸通りを驀進した。

友人の結婚は本当に嬉しく楽しいものだ。
酒で勢いづき浮かれまくってる僕は、
全ての女性に挨拶し、
当然のごとく「愛してる」を連発した。
勿論、どの女性も綺麗に見えたが
そんな中一際目立ってる新婦の友人がいた。



抜群のスタイルに利発そうな顔、
アップした髪、
肩を出したドレスから覗く褐色の肌、
そして少しだけ九州の訛り。

上手く言えないけどそのアンバランスさがとても魅力的だった。
「博多っこ純情」世代でとんこつラーメン大好きな僕は、
九州の文化に憧れがある。

まあ、仮に彼女に訛りがなくて、
僕が道産子ラーメンを好む人間だとしても、
彼女が魅力的というのに変わりはないのだけれど。

これは行くしかないでしょ。
だって彼女、可愛いんだもん♪




旅の恥はかき捨てじゃないけど、
上手い具合に4次会で彼女の隣の席をキープした僕は、
彼女オンリーでわき目も振らずプッシュしまくった。
野郎もみな虎視眈々と彼女を狙ってただろうし、
今まで「愛してるよ」を連発してたから
女性陣にも大いに顰蹙を買ったかもしんないけど、
そんなの関係無いさ。

なんたって僕は浮かれてるんだから。
そうしてなんとか彼女と話込むことに成功したんだ。




彼女は生粋の博多娘だった。
いーねー。
話の合間に彼女はワインを飲む。
いーね、いーね。
僕が話す時には目を見つめる。
いい。
そしてイタズラっぽく笑う。
いい。
うなじには少しだけ後れ毛。

彼女は今、ダイビングのインストラクターをしているという。
なるほどよく焼けてるのはそのせいか。
男勝りに語るその口調も、
なんだか下町っぽくて良いな。

ああ、もう君、何もかも良いぞー。




まだ手も握ってないタイミングで僕の友人が割り込んできた。
「はるお、4次会終わりー。屋台行くぞ、屋台」
楽しい時ほど時間が経つのは早い。
っていうか、
うっせーよ、おまー。
邪魔すんなよーと思ったが、
4次会はあっさりと終わってしまった。
僕らは殆ど追い出されるように店を出て通りにたむろした。
少し歩くとタクシーが並んでる通りに出た。




5次会に行くとか行かないとかで、
野郎は順次ぎゅうぎゅうずめにタクシーに乗り込んでいった。
が、僕の順番の時、たまたま彼女が傍で、彼女の友人と話し込んでたんだ。
僕は車の中から彼女に手を伸ばし「おいで」と彼女の手を握った。
彼女はちょっと考えてたが、
やがて笑ってタクシーに飛び込んできた。
僕の友人も彼女の友人もこっちを見てる。
「出して!」とタクシーの運ちゃんに言って、
僕ら二人を乗せたタクシーは発車した。



「笑えるなあ、見た?
 連中の顔」

僕らはタクシーの中で笑い転げた。
地元の地理がさっぱり分からない僕は彼女に任せきりで、
彼女お薦めの沖縄料理の店に着いた。

そこでよく分からない海葡萄やゴーヤの天婦羅を肴にし、
6時近くまで泡盛で乾杯を続けた。

彼女は「ホントは髪上げるの好きじゃないんよ」
と言って髪をおろした。
柔らかくウエーブのかかった髪がおりて、
これまた彼女の美しさに磨きがかかった。




僕らの話は、
仕事のことから好きな場所、
海の神秘、
宇宙の神秘、
果ては彼女の結婚観からSEX観まで及び、
短い間に充分にお互いを理解しあったと思うけど、
不思議とSEXしたいという感情は湧かなかった。

無論、酔ってたせいもあるし、
友達の嫁さんの友達と一夜限りのってのもどうかと思うし、
それよりなにより彼女と話してることの方が面白かったからだ。




6時頃に僕らは店を出て、
眩しい太陽に目をじんじんさせながら通りを歩いた。
彼女の案内でタクシー乗り場に着き、
それじゃねって別れたんだ。

彼女だってあそこまで付き合ったし、
随分きわどい話だってしたから、
全くその気がなかった訳じゃあないと思う。

でも、二度と会うことが無いって分かってるし、
たまには会話を楽しむのってのも良いじゃないか。
今更ながら一期一会ってSEXだけじゃないよね、ね!

ほら、最近は結構、達観してきてんだよ。
僕だって。




ところで、
結局一睡もしないままホテルに戻った僕が
「はるお!てめーどこ行ってた!」
と、ベットから起き上がってきた友人連中に
どつきまわされたのは言うまでも無い。

本当に何もなかったって言ったって、
誰一人信用しちゃくれないんだ。


ああ、俺って日頃からどう思われてんだろう orz...




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コメント

非公開コメント

ふふふ
> ああ、俺って日頃からどう思われてんだろう orz...
その一言の呟きに全部込められている感じですね。
確かに、こういう出逢いってありますよね。
一緒にいて・話も盛上がって・・・でもベッドには行かない。
周囲がそれを信じなかったのは、彼女が本当に魅力的だったからでしょう。
とてもいい結婚式でしたね♪
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