先生!
インターンの木谷美和子が江波隆介の執務室に飛び込んできた。
江波は読みかけていた書類から目を上げ、入口に木谷を認めると額にかけていた眼鏡をずり下げ、鼻にかけ直した。
大変なんです、先生!
訳が分からないまま木谷を見つめ鷹揚に構える江波に対して、今起きた問題を早く江波に伝えようと木谷は泡を食っていた。
(またか。何が大変なのか何も伝わってこない。)
木谷はインターンとしての知識は十分だ。まじめで努力家でもある。学閥も今の部長と同じ大学の出身だし、両親ともに開業医であって家柄も申し分ない。
まさにここで医師になるべくして育った女性ということになるだろう。だが、若さゆえか残念ながら彼女には決定的に落ち着きが足らない。
冷静さや落ち着き。これは医師になるにあたって必要不可欠な要素だ。
それは江波の持論だった。
(僕はそれを彼女に教えていかなければならない。)
ずんずんと机の前に迫ってくる木谷を見ながら、江波はそんなことを考えていた。
木谷君。まずノックはしたまえ。それと落ち着い…
先生。これは落ち着いていられません。
なんとか木谷の言葉を制しようとしたが、江波の言葉に被せて木谷は声を荒げ続けた。
新谷さんが消えたんですよ。
なんだって!
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