--- 水曜 朝8:42
次に目が覚めると8時半を過ぎていた。
昨日、江波に予約してもらった病院は10時半なので、うちからだとまだ余裕な時間だ。
だが俺は会社に連絡するのを忘れていたことを思い出した。
今日は休むということを伝えなければいけない。
うふふ。なぜか笑みがこぼれてしまう。
なんだこの遊びに行くときのような高揚感は。
会社を休むのがこんなに楽しいことだったか?
さっき6時頃に起きた時と違って、今は非常に快活に動ける気がするのだ。
俺以外のすべての動きが遅く見える。なんというか、万能感に満たされている。もしかして俺は神か。
壁の時計の秒針の進みすらもどかしい気ががする。妙に冴えた感覚だった。
(よし、起きるか!)
寝返りをうってベッドからすっと立ち上がる。
俺自身はすっと立ち上がったつもりだったが、実際には足がよろめいてベッドに尻餅をついてしまった。
だが、その体が落ちていく瞬間の風景が、映画のフィルムのコマのようにパラパラと鮮明に見えた。
頭の回転だけが3倍になった感覚か?
おもしれえ。
まあ、いい。とりあえず電話だわ。
俺はあちこちにぶつかりながらキッチンに行き、脱ぎ散らかしたスーツの内ポケットから携帯を取り出した。妙にポケットの端が携帯の角に引っかかる。つまらんポケットだ。
キッチンの床に座り込み、パスワードを2回間違えた後に、着歴から後輩の斉藤の電話番号を見つけ出した。
プッシュ、プッシュ、おい、画面の反応おっせーよwww
コール音が3回鳴ったところで斉藤が出てきた。
おはよう。俺だ。
あ、おはようございます。
ちょっと今日はびょうえんいくこといなたから。
新谷さん、なんかしゃべり方おかしいっすよ。
は? 何ってんだ。おれは普通だぞ。
調子悪いんですか?
ああ、休むっていっろけ。
・・・
斉藤はブツっと切られた携帯の画面を見つめた。
(新谷さん、だいぶ酔ってるな。
こんなの小林部長がまた火を噴くぞ。)
参ったなあ。そう思いながら斉藤は朝のミーティングに出席する準備を始めた。
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