--- 水曜 朝10:30
よう。新谷。同窓会以来だな。
手を挙げた笑顔の江波が目の前まで来ていた。
俺はソファから立ち上がって、江波に手を伸ばした。
すっと立ち上がったつもりが実際には、腰を曲げてなんとか重心を取りながら前かがみに立ち上がるのがやっとだった。
素早い動きができなくなってる。頭の中でそういう判断はできているのだが、体がついてこないのだ。
江波が一歩踏み出し、つんのめりそうな俺の体を支えるように握手をした。
おい。大丈夫か。無理するな。座れよ。
江波が気を使って言ってくれた。
馬鹿、大丈夫だよ。ちょっと今は調子が悪いだけだ。
いつもならそう言い返すのだが、口をついて出てきた言葉はただ「ああ。。。」だった。
俺は江波に促され再びソファに座った。ださいな。そんな風に思った。
座った途端に、江波についてきた、後ろの女性が気になる。
先ほど俺が倒れそうになった時に、あっという顔をした女性だ。
(やりたい。いや、誰なんだ。)
俺の目線に気が付いたのか、江波が紹介してくれた。
こちらはインターンの木谷さんだ。
ああ。。
木谷さんは、ちょっと気弱そうな大人の感じの女性。俺がこんな勃起症候群じゃなくてもお願いしたいくらいの好みの女だった。
こんな女ならびしっと決めて後につなげたいところなのだが、今はピンクの霞がかからないよう、ただただ意識を確かに返事をするだけだった。
俺は、今日、お前に付き合うわけにはいかないからな。彼女についてもらう。
ああ。うん。
ま、俺も一応、同級生としてお前を心配してるわけさ。
あ、ああ。すまん、、な。
冗談めかして江波が言い、インターンの木谷さんもそれを笑おうとしたが、俺の反応があまりにも普通で二人とも引き攣った顔になった。
俺には江波の言葉がちゃんと聞こえていたし、いつものようにジョークをかましているのも分かっていた。
ただ、まるで江波の言葉が3倍速で俺の前を通り過ぎていくように感じていたのだ。
俺がちゃんとした反応を取る前に江波の言葉が目の前を流れていく。
まるで俺の口は耳と2kmくらい離れてるんじゃないかと思うような出来事だった。
あ、じゃあ、受付にお願いしてくるからな。
江波が離れていった。
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