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2016/11/11

「線虫」コンビニの回



外にいると刺激がいっぱいだ。

家だ。とにかく家に帰ろう。

俺は人の多い駅に戻るのをやめて、大田泌尿器科の前の道を、来た方向と逆に歩き始めた。
人通りのほぼない道を大通りと逆方向に歩いていくと、見覚えのある商店街の風景を2ブロック先にみつけた。
思った通りだ。ここからなら歩いて自宅に戻ったとしても大した距離じゃない。
さらに裏路地なら…

人間関係が希薄な都会だなんてよく言われるが、一方でその人口密度は半端ない。
そんな中、女という生き物に会わずに過ごそうと思ったら、それこそ都会では無理な話だ。
そもそも平日の昼間だっていうのに、なぜか若い女が駅に電車にあふれかえってる。
一体どういうことなんだ。
一体彼女らは何をやって飯を食ってるんだ。
そんな働かなくて一生生きていけるのかと心配してしまうね。
俺はそんなことを考えながら、見覚えのある商店街の裏路地を歩いた。

ここはちょいとした飲み屋街なので、昼間に歩いている人間は少ない。
いや少ないはずだ。
どこかで昼飯と晩飯を買っておこう。
極力誰にも会わずに、、、
となれば、コンビニだ。
コンビニならバイトの兄ちゃんくらいしかいないだろう。
俺は裏路地の角にあるコンビニに入った。
夜中は酔っ払いや客引きやスタッフがあふれかえるコンビニなのだろうが、昼は閑散としたものだ。

来客を知らせるチャイムが鳴ったが、店員は奥に引っ込んだまま出てきもしない。
店舗としてはどうかと思うが、俺にとってはこいつはラッキー極まりない。
できれば誰にも会いたくないのだ。
家に帰れば外出もしたくないので、昼、夜分の弁当を選んでおこう。
明日の朝は食べていかないほうがいいだろう。
2食分で十分だ。

適当な弁当を2つほど選んで、レジへ行く。

おーい。すみませーん。

と声をかけると渋々と店員が出てきた。
残念ながら奥から出てきた店員は女だったが、幸い俺の陰茎は反応しなかった。
精気のないおばさんは、本当にやる気がなさそうに俺の選んだ弁当をレジに通した。
温めますかとか箸が必要かどうかすら聞いてこない。
まあ、どちらも俺には必要ないものなので良いのだが、パートのおばちゃんも金をもらうからにはレジ打ちのプロだ。
もう少し、なにか、こうやる気を見せても良いものだがな。

(まったく。
 若いのもおばさんも困ったもんだ)
 
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  2. 美人専用逆ナンパシークレッツ ~ たくさんの美人が向こうから勝手にあなたにすり寄ってくるこの魔法を知りたくはないのですか? ~
  3. 唯一無二の女になるための5stepのエッセンス~九州恋愛コンサルタント内野舞Presence~


2016/11/10

「線虫」自宅の回



人を避けつつやっとの思いで自宅マンションに戻ると、弁当をレンジに突っ込み、すぐにテレビをつけた。
俺には試したいことがあったのだ。

テレビでは昼の情報番組をやっていた。中年の司会者の他におばさんや若いコメンテータも出ている。
昔はアイドルとして一世を風靡していた可愛らしいおばさんが画面に映し出されている。
俺はテレビの画面に映る女どもをじっと見つめた。

なるほど。

思った通りだ。

俺の陰茎はピクリとも反応しない。念のためにチャンネルを変えてみても同じだった。
実はさっきのコンビニで、店員がいないのを良いことにアダルト雑誌を手に取り、ぱらぱらとページをめくってグラビアに載る女を見つめてみたが、俺の陰茎はひとつも反応しなかったのだ。
ということは、俺の体は生身の女以外には反応しないということだ。

これは一つ収穫だな。

暖かくなった弁当をレンジから取り出し、俺はテレビを見ながらぽつりぽつりと食べ始めた。

頭はなにも働かない。今日は特段することもない。
そもそも何か考えようにも情報が少なすぎて何も思いつかないのだ。
ただ、なんとなくの不安だけが心をよぎる。

(そうだ。明日は検査だ。夜は飲めないし今のうちにビールでもやるか。)

俺は冷蔵庫から冷えたビールを取り出しコップに注いだ。
ぐいっと一気に煽る。
冷たい感触が喉を滑り落ちていく。
それはいつものことだが、日頃と違って妙に苦みが舌に残るような気がした。
妙に塩っ辛い焼肉としなびたピーマンをつまみに、二口目のビールを煽ったときに、ぐんと頭が重たくなった気がした。
たったの2杯だったが

なんだか、、今日は、、猛烈に、、酔いが回る、な。

目の前が暗くなった。
 
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2016/11/09

「線虫」水曜の朝の回(1)寝覚め



--- 水曜 朝6:15
俺は猛烈な喉の渇きで目が覚めた。
目ヤニで瞼が張り付いているように感じるが、意識がもうろうとしているのか手がうまく動かない。
それでもなんとか腕ごと動かし、ぶらぶらした指先で目をこすり、うっすらと目を開ける。
窓から陽が差し込んできていて、顔に直接あたっている。
壁にかかっている時計に目線をやるとまだ朝の6時のようだ。

確かさっきまで昼飯を食ってた。
ビールを飲んで、猛烈な酔いが襲ってきて・・・
その先のことが・・・よく思い出せないが
ベッドまでは自分の足でたどり着いたようだ。

目ヤニでかすんだ寝ぼけ目で体を見ると、どうやらベルトすら外さずにズボンにワイシャツのままで寝てしまったらしい。

なんだ。皺になっ、、ちまったな。

体の動きは鈍いが妙に寝起きからハイテンションで、思ったことを声に出して言っている。
だが、まだ寝ぼけているのか口がうまく回らない。
いや本当に声を出しているのかどうかもよく分からない状態だ。

普通じゃないな。

あわてて起き上がろうとするが、腕に力が入らない。
それでも少し上半身を動かしたことで、ワイシャツの胸元からむわっと体臭が上がってきた。
何か甘い、お香のような匂いだった。

風呂はいら、、おれ、こんな匂いだったか、な。。

どうにも寝ぼけている。頭がぽわんとして思考がまとまらなかった。そのくせ朝立ちなのか、陰茎は張り切っている。痛い。痛い。痛い。
そう言えば何かピンクかかったエッチな夢を見たような気もする。会社のパートの恵子ちゃんと昨日のアナウンサーがごっちゃになったような、挿入したようなぎりぎり挿入しなかったような、そんなふわふわした夢だ。何か暖かいような嬉しいような気持ちがこみ上げてくる。
だが口をついて出てくる言葉は思考とかけ離れたものだった。

朝立ちwww
今日は検査だし、ぬ、くわけにはいかないよな。
小便も、た、ぶん取られるよな。
今日はおん、ながいるわ、けでもないのに、元気な息子だ。

妙に自分の声が耳の奥に響く。本当に声を出しているのかどうかもよく分からない。
そのくせ自分の考えていることがなんだか可笑しくて笑いがこみ上げてくるのだ。

まだ、よってるんだろう。。。

起き上がる気力が戻ってこないので、俺はそのまま2度寝することにした。
 
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2016/11/08

「線虫」水曜の朝の回(2)2度目の寝覚め



--- 水曜 朝8:42
次に目が覚めると8時半を過ぎていた。

昨日、江波に予約してもらった病院は10時半なので、うちからだとまだ余裕な時間だ。
だが俺は会社に連絡するのを忘れていたことを思い出した。
今日は休むということを伝えなければいけない。
うふふ。なぜか笑みがこぼれてしまう。
なんだこの遊びに行くときのような高揚感は。
会社を休むのがこんなに楽しいことだったか?

さっき6時頃に起きた時と違って、今は非常に快活に動ける気がするのだ。
俺以外のすべての動きが遅く見える。なんというか、万能感に満たされている。もしかして俺は神か。
壁の時計の秒針の進みすらもどかしい気ががする。妙に冴えた感覚だった。

(よし、起きるか!)

寝返りをうってベッドからすっと立ち上がる。
俺自身はすっと立ち上がったつもりだったが、実際には足がよろめいてベッドに尻餅をついてしまった。
だが、その体が落ちていく瞬間の風景が、映画のフィルムのコマのようにパラパラと鮮明に見えた。
頭の回転だけが3倍になった感覚か?

おもしれえ。
まあ、いい。とりあえず電話だわ。

俺はあちこちにぶつかりながらキッチンに行き、脱ぎ散らかしたスーツの内ポケットから携帯を取り出した。妙にポケットの端が携帯の角に引っかかる。つまらんポケットだ。
キッチンの床に座り込み、パスワードを2回間違えた後に、着歴から後輩の斉藤の電話番号を見つけ出した。
プッシュ、プッシュ、おい、画面の反応おっせーよwww
コール音が3回鳴ったところで斉藤が出てきた。

おはよう。俺だ。
あ、おはようございます。
ちょっと今日はびょうえんいくこといなたから。
新谷さん、なんかしゃべり方おかしいっすよ。
は? 何ってんだ。おれは普通だぞ。
調子悪いんですか?
ああ、休むっていっろけ。

・・・

斉藤はブツっと切られた携帯の画面を見つめた。

(新谷さん、だいぶ酔ってるな。
 こんなの小林部長がまた火を噴くぞ。)

参ったなあ。そう思いながら斉藤は朝のミーティングに出席する準備を始めた。
 
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2016/11/07

「線虫」水曜の朝の回(3)病院の受付



--- 水曜 朝10:08
予定通り、俺は東京先進医療センター病院の受付前に到着した。
約束の受付まではまだ20分もある。
受付前の平たいソファーに座って、できるだけ周りを見ないようにしながら、朝のことを思い出していた。
受診をするなら少しでも情報をまとめておくことは大事だ。

斉藤に電話を入れた後、自分の体が妙に臭いと感じたので、先ずシャワーを浴びた。
そして風呂場で座り込んでいるうちにだんだんと普通の感覚が戻ってきた。
陰茎はいつも通りにしぼみ、体に力もわき、先ほどまで感じていた妙な万能感も消えた。
あの万能感のままだとシャワーの粒も一つ一つ見えたかもしれないなw
そんな風に感じた。うん。確かにそう思った。
あれは酔いが残っていたのだろうな。

通常の感覚を取り戻した俺は、サングラスとマスクを探し出し、顔を隠して家を出た。
東京先進医療センター病院には、乗り換え2つ、所要時間40分も電車に乗らなければならない。
通勤時間を外しているとは言え、都会には女がいっぱいだ。
電車内で高橋に指摘されたようなアホ面を晒すわけにはいかない。
まあ、隣にキャバ嬢みたいな姉ちゃんが座ったので結局、勃起はしたのだが。


いよいよ10時30分になろうかという時、受付を確認するために目を上げると、向こうの廊下から見慣れた顔が近づいてきた。
江波だ。来てくれたのか。律儀な奴だ。
病院の受付や待合には女どもが沢山いる。俺は勃起していたが、江波と話す分には冷静でいられるはずだ。
この分なら妄想が起きることはないだろう。俺はサングラスとマスクを取って、江波に手を挙げた。
江波も気づきこちらにやってきた。

よう。新谷。

聴診器をかけた白衣の医師が、病院の待合でさも親し気に声をかけてくるというのは誇らしいものだ。
当然、周りのソファに腰かけた女どもの視線が奴に行き、次の瞬間、俺に集まる。
周囲の熱量が高まったように感じた。
俺の勃起は極限に達した。
 
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2016/11/06

「線虫」水曜の朝の回(4)同級生との再会



--- 水曜 朝10:30
よう。新谷。同窓会以来だな。

手を挙げた笑顔の江波が目の前まで来ていた。
俺はソファから立ち上がって、江波に手を伸ばした。
すっと立ち上がったつもりが実際には、腰を曲げてなんとか重心を取りながら前かがみに立ち上がるのがやっとだった。
素早い動きができなくなってる。頭の中でそういう判断はできているのだが、体がついてこないのだ。
江波が一歩踏み出し、つんのめりそうな俺の体を支えるように握手をした。

おい。大丈夫か。無理するな。座れよ。

江波が気を使って言ってくれた。
馬鹿、大丈夫だよ。ちょっと今は調子が悪いだけだ。
いつもならそう言い返すのだが、口をついて出てきた言葉はただ「ああ。。。」だった。
俺は江波に促され再びソファに座った。ださいな。そんな風に思った。

座った途端に、江波についてきた、後ろの女性が気になる。
先ほど俺が倒れそうになった時に、あっという顔をした女性だ。

(やりたい。いや、誰なんだ。)

俺の目線に気が付いたのか、江波が紹介してくれた。

こちらはインターンの木谷さんだ。
ああ。。

木谷さんは、ちょっと気弱そうな大人の感じの女性。俺がこんな勃起症候群じゃなくてもお願いしたいくらいの好みの女だった。
こんな女ならびしっと決めて後につなげたいところなのだが、今はピンクの霞がかからないよう、ただただ意識を確かに返事をするだけだった。

俺は、今日、お前に付き合うわけにはいかないからな。彼女についてもらう。
ああ。うん。
ま、俺も一応、同級生としてお前を心配してるわけさ。
あ、ああ。すまん、、な。

冗談めかして江波が言い、インターンの木谷さんもそれを笑おうとしたが、俺の反応があまりにも普通で二人とも引き攣った顔になった。
俺には江波の言葉がちゃんと聞こえていたし、いつものようにジョークをかましているのも分かっていた。
ただ、まるで江波の言葉が3倍速で俺の前を通り過ぎていくように感じていたのだ。
俺がちゃんとした反応を取る前に江波の言葉が目の前を流れていく。
まるで俺の口は耳と2kmくらい離れてるんじゃないかと思うような出来事だった。

あ、じゃあ、受付にお願いしてくるからな。

江波が離れていった。
 
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2016/11/05

「線虫」精密検査の回



木谷さんは、次はこちらですよといちいち俺の手を取り、院内の各受付を一緒に回ってくれた。
江波が木谷さんを俺に付けてくれたのはきっと同期のよしみだろう。俺の頭の中では、木谷さんが江波に頼み込んで俺に付いたという妄想が沸いたが、それについては何とか払拭した。
木谷さんが俺の手を引いて歩いてくれる姿は、他人から見ればじじいの扱いに違いなかったからだ。いわゆる介護者だな。
だが、実際、早すぎたり遅すぎたりする頭に体がついてこない状態の俺が助かったのは事実だ。
木谷さんがあまりにも好みすぎて、ずっと勃起が収まらないのも事実だったが。。。

江波は精密検査を受けさせると言ったが、俺の感じる限り、その内容は健康診断と大差のないものだった。
最初にカップを受け取り、特別にしつらえたトイレの中で検尿を取ってきてくれということだった。カップを渡してくれたのは妙齢のナースで一瞬で俺は再勃起した。が、妙な言葉を出さないように抑制し、トイレにこもって勃起が収まるのを待った。朝からトイレは我慢していたので、濃い尿を並々とカップに取ることができた。これには俺も大満足だった。
次に男に問診を受けた。頭で思ったことがうまく口に表せない。しようがないので、指さしで思うところを伝えた。きっと俺の答えに専門医も驚いたことだろう。今の俺は人の3倍増しの天才なのだ。頭は回っている。間違いない。
次に採血。採血ってのはあれだな。どうしておっぱいの近くまで腕を引っ張るんだろうな。もう触ってくれと言わんばかりに腕を引っ張り、固めのナース服に触れるか触れないかまで持っていく。おっぱい触ってほしいんじゃないのか。丁寧に腕まで触られてつい顔がにやけちまうよな。
そして身体測定。カーテンで仕切られた個室にナースと二人きりってのはどういうことだ。しかも検査着をウエストまで持ち上げさせて、俺の腹回りに抱き着いてくるなんて、これは好意の表れか。思わず勃起したものを看護師に押し付けてしまいそうになるじゃないか。
血圧の検査も採血と同じだが、こいつは大抵おばさんナースの仕事だ。あれは勃起した陰茎を通常状態に戻させるための所業に違いない。だが俺は違うぜ。にっこり笑っておばさんナースに腕を渡した。俺の血圧の高さにおばさんも驚いたことだろう。
肺活量の測定は今一力が入らなかった。今の体の状態ではしかたないだろう。そして、視力の測定、眼球の風圧検査。こいつはおっさんだったから何も感じない。強いて言えば目が痛てぇ。
続く、聴力検査は狭いボックスに一人きりなので勃起は収まったままだった。だがそのボックス内は雑音が溢れていて、俺はあまり上手にスイッチを押すことができなかった。あのボックスだけは改善すべきだと思う。
さらに肺のX線を取り、あとはバリュウム。胃の検査だ。あれは機械が上下左右に動くので体を支えるのに必死だったがなんとか乗り越えたぜ。一人きりになる検査は俺を不安にさせる。まあ、部屋から出るたびに木谷さんが待っていてくれるのが救いだがな。
そして心電図。狭い部屋におばさん技師と二人きりだ。妙にぬるぬるとした液体を吸盤に塗って、俺の足、腕、胸に吸い付かせる。いったいこれは何のプレイだ。勃起、勃起、勃起。まともな心電図なんか取れるわけないじゃないか。病院はあほなのか。
もう一つ、きつかったのは直腸検査だ。人様のけつに指を突っ込むなどバカげている。お前はどれだけ偉いというのだ。幸い男の医師だったから問題ないが、これが女だったら俺は貴重な精子を一発分まき散らしてるぞ。

この馬鹿どもが。
俺様を診察するのに健康診断的なものは何の意味も持たない。

と思ったのだが、木谷さんに手を引かれたそれぞれの検査は結構バラ色の夢見心地で、俺の頭の中はピンクで満たされ、やりてぇやりてぇの言葉がリフレインしていた。
唯一、健康診断でやらない検査がMRIだろう。ここだけは江波の配慮が効いていたのかもしれない。
そう言えばあいつ同窓会のときに、脳外科医はMRIが大好きだという話をしていたな。MRAだったか。忘れたが。
カンカンと音が鳴るのは気になるが、頭と下半身と分けて撮ってくれた。
随分と時間をかけていたが、あれはあいつの紹介状が効いてるんだろう…
 
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2016/11/04

「線虫」逃走の回(1)第一報



先生!

インターンの木谷美和子が江波隆介の執務室に飛び込んできた。
江波は読みかけていた書類から目を上げ、入口に木谷を認めると額にかけていた眼鏡をずり下げ、鼻にかけ直した。

大変なんです、先生!

訳が分からないまま木谷を見つめ鷹揚に構える江波に対して、今起きた問題を早く江波に伝えようと木谷は泡を食っていた。

(またか。何が大変なのか何も伝わってこない。)

木谷はインターンとしての知識は十分だ。まじめで努力家でもある。学閥も今の部長と同じ大学の出身だし、両親ともに開業医であって家柄も申し分ない。
まさにここで医師になるべくして育った女性ということになるだろう。だが、若さゆえか残念ながら彼女には決定的に落ち着きが足らない。
冷静さや落ち着き。これは医師になるにあたって必要不可欠な要素だ。
それは江波の持論だった。

(僕はそれを彼女に教えていかなければならない。)

ずんずんと机の前に迫ってくる木谷を見ながら、江波はそんなことを考えていた。

木谷君。まずノックはしたまえ。それと落ち着い…
先生。これは落ち着いていられません。

なんとか木谷の言葉を制しようとしたが、江波の言葉に被せて木谷は声を荒げ続けた。

新谷さんが消えたんですよ。
なんだって!
 
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2016/11/03

「線虫」逃走の回(2)江波からの視点



だから、新谷さんが消えたんです。

流石の江波も、この言葉には面食らった。

分かった。木谷君、少し落ち着いて。状況を教えてくれ。
だから、新谷さん消えたんです。
消えたっていう意味を説明してくれないか。
だから病院から逃げたんです。
逃げたっていうのは、玄関から出てった?
そうです。
出ていったのを見た?
見ました。
追いかけた?
思ったよりも早くて駐車場で見失いました。

ここで一つ問題が解決した。病院から走り去ったということは新谷は生きている。医師にとって人が生きているかどうかは最重要だ。

出ていったのはいつのこと?
MRIの後です。
えっと。検査は全部受けさせたの?
はい。MRIまで。

MRIの順番がどうなっているのかは俺は知らない。が、とりあえず全ての検査は受けさせたらしい。
誘導しなくてもこのくらいの情報は、第一報で欲しいと思うのは俺のわがままなんだろうか。

分かった。それでMRIの後、どうした。
はい。それなんですけど…

やっと木谷の表情に安堵の色が見えた。先ずは彼女の責任において介護していた患者が走り去ったという部分を責めなかったのが良かったのだろう。
ただ、それがだれの責任なのか、ここから先は具体的に聞かなければなにも分からないので責めなかっただけなのだが。
とりあえず応接用の椅子を木谷に勧めた。冷静に話すには椅子に座るに限る。

それで新谷は急に走り始めたの?
そうです。
その時の状況を細かに教えてください。
 
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2016/11/02

「線虫」逃走の回(3)木谷の報告



それがMRIも終わって、あとは会計だけだったんです。
うん、それで。
受付のソファに座られて、もう良いかなと思ったんですが、きつそうなんで隣に座って、しばらく話してたら、新谷さんが急に、分からないことをつぶやき始めて…
分からないことっていうのは?
「したい」とか「広げなきゃ」とか。よく聞こえませんでした。
うーんと、その時の新谷の様子はどうだった?
体が前後に揺れてました。
それだけ?
目がちょっと
ちょっとなに
焦点が合ってない感じでした。
なるほど。言葉というか、話の前後の脈絡は?
言葉はもどかしい感じでしたね。脈絡はとくに。
特にというのは。
先生との高校時代の話とかしていました。
ふむ。最初はまともだったということかな?
そうです。言葉は詰まっていましたが。
その内におかしくなったと…

江波は視線をそらし、少し考えている風だった。

ふーむ。君の結論として薬物的な感じか。感覚としての判断だが。
それはあるかもしれません。
なるほどな。それで?
それでも言葉の内は良かったのですが、私の…

木谷の言葉が詰まった。

なんだ。
私の、胸を触る仕草を始めて、先生の知り合いなものであまりこう邪険にもできないでいたら、そこから股間にも…パンツスーツなので適当にいなしてたのですが、待合の椅子に押し倒してきたので殴りました。
知り合いは別にいい。どこをなぐった。顔か。
顔です。
木谷君は怪我をしてないか。
怪我はありません。それで急に我に返ったようになられて。
新谷の目が戻った?
そうです。
 
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2016/11/01

「線虫」逃走の回(4)江波の収束



木谷美和子のつたない報告を聞く限り、新谷幹夫の症状は薬物依存かなにかに間違いない。
検査は全て受けたということだから、近々、委縮した脳のMRIを受け取ることになるだろう。
江波隆介は、やはり情に流されて旧友の依頼など受けるべきではなかったと後悔していた。

しかし起きてしまったことはしようがない。これをどう収束にもっていくかが重要だ。
自分自身が紹介状を書いてしまったことについてはどうしようもない。
これはもみ消しても問題は残るだろう。

しかし、それ以外は新谷の木谷に対するセクハラと、新谷の会計が未処理だという問題くらいだ。
待合もざわついただろうが、まあ、一般の患者に木谷の顔は知られてない。痴話げんかで済むだろう。

江波は木谷をソファに残して執務机に戻ると、どっかと座り込んだ。
気は重たいがこうした処理は自分自身で進めるしかないのだ。
ピッピッピと番号を選択し、馴染みの脳外科の会計に連絡を入れた。

あ、私だ。
江波先生ですか。
うん。ちょっと困ったことが起きてね。
はい?
私の知り合いを健康診断に回したんだが、払わずに帰ったようだ。
なるほど、いけませんね。
その請求を私に回してもらいたい。
はい?
穏便に済ませたいということだ。分かるね。外来の会計に話を付けてもらえるかな。
はい。承知しました。えっと患者さんのお名前を…
新谷幹夫。し・ん・た・に・み・き・お。MRIを2か所使った。
結構な額になりますが、全て先生で?
うん。それは構いません。
承知しました。
うん。急いで頼むよ。もめてるかもしれない。

江波は受話器を置いた。金が入ってくれば会計的には問題はないだろう。これで会計の問題はクリアだ。
残るは木谷君へのセクハラ問題か。
まあ、インターンの木谷くらい篭絡するのは簡単なのだが、さて、患者のプライバシー問題でも吹っ掛けるかな…
まったく気の重い話だ。
  
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2016/10/31

「線虫」逃走の回(5)走る



俺は走っていた。

既に病院の駐車場は潜り抜け、大通りに入っていた。その大通りの歩道をただあてどもなく走っていた。
頭には何も思いつかない。ただ本能的に走っていた。既に息は上がり、足元もおぼつかない。歩道の小さな段差にすら突っかかりそうになりながら、それでもただ走っていた。
平日のビルから出てきたサラリーマンが一瞬目の端に俺を認め、速足で避けるのが分かる。
向こうからやってきた薄いカーデガンを着たOL二人組が、道の端に避けて抱き合い、俺が通り過ぎるのを祈るように待っている。お前らレズかよ。
息が荒い。わき腹がじくじくと痛む。さっきから心臓がドクドクと畝っていて喉から飛び出しそうだ。

がはーっ

と大きく息を吐いて俺は立ち止った。前かがみになって膝に手をつき2、3度浅く呼吸をすると、そこから背伸びをして大きく息を吸い込んだ。
簡単には息は戻らない。頭皮から垂れてきた汗が、顔を流れていく。おそらく1kmも走っていないのだがとにかくわき腹が痛い。
革靴でアスファルトを走ったために負担がかかったのか、太ももが震え、膝ががくがくした。2、3歩歩いて歩道の脇のガードレールに寄りかかる。

(一体なんなんだ。俺は何をしてるんだ。)

自分自身に問いかける。検査は。検査は、受けた。その後だ。受付で、あの、なんていったか、名前は忘れたが、あのお嬢ちゃんと話をしていたときに、ピンクの霧が襲ってきて、気が付いたら押し倒していた。俺の手は。手は彼女の胸をつかんでいた。
病院の受付だぞ。あれだけたくさんの人がいる中で俺はいったい何をしてるんだ。犯罪じゃないか。ありえない。そして。
そして。逃げた。逃げるしかない、そう思った。あの状況じゃあな。
あ、病院の金、払ってないな。江波になんて言う。いや江波にはもう伝わってるか。まずいな。まずい。
しかし。とりあえず落ち着くか。喉が渇いた。

周りを見渡すとファミレスが見えた。

あそこで落ち着くか。(ハラヘッタナ)そうだ腹が減った。考えてみれば昨日の昼から何も食べてない。(ノドモカワイタ)そうだ。喉も乾いてる。ファミレスで飯を食っていったん落ち着こう。

俺は震える足を引きずるようによろめきながら、ファミレスの階段を昇って行った。
 
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2016/10/30

「線虫」ファミレスの回(1)だから肉だよ



いらっしゃいませ、こんにちはー。ドニーズへようこそー。お客様、おひとり様ですかー。
うん一人。(コイツモウマソウダナー)うん。

営業用のスマイルに違いないのだが、健康そうな若い女性がはつらつとした笑顔で話しかけてくれると、本当にうまそうに見える。
セックスに持ち込んで、俺のものを大量に発射すれば、子供をたくさん産んでくれそうだ。

ご案内します。こちらへどうぞー。

前を歩く女のプリッとしたケツを眺めながら俺は大いに妄想を膨らませていた。もちろん、股間も盛大に膨らませている。
案内された席に着くと、俺はすぐにメニューを取り、女を待たせて、その場で肉を注文した。

・・・
だから肉だよ。これ。

女が繰り返し聞くのでやや強い口調になってしまった。なぜこいつは俺の言ってることが分からないんだ。馬鹿なのか。

はい? ステーキでございますか?
ああ、そう。このステーキとあとはハンバーグ。これ。
セットはいかがいたしましょう。
セット?
はい。ごはんかトースト、お味噌汁とスープをお選びいただけますが。
いらない。
では、ご注文を繰り返させて頂きます。和風ステーキの・・・
いいから持ってきて。

とにかく一刻も早く肉が食いたかった。普段そんなに肉を食べるほうじゃないんだが。たぶん体が欲してるんだろう。
他の店員が持ってきた水を一気に飲み干すと、俺はトイレに立った。顔がべたつくので、洗い流したかったのだ。いや顔に限らず体中から嫌な汗が出ているのが分かる。本当はシャワーを浴びたいのだが。
俺は顔を洗い、トイレの鏡に映る自分の姿を見た。

ん?

なにか違和感。明らかに昨日よりも痩せてる。いや痩せてるというよりやつれているのだ。
頬がそげ、目の下にはあれだけ寝たのにクマができていた。

なんだこれ大丈夫か。
(ダイジョウブダ)
なにが大丈夫だ。大丈夫じゃない。
(ダイジョウブダ。メシヲクオウ。)
ん、ああ、そうだな。飯を食おう。

鏡の中の俺が話しかけてくるような気がした。俺が言うなら間違いない。大丈夫なんだろう。
 
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2016/10/29

「線虫」ファミレスの回(2)オンナヲサガソウ



席に戻りぼーっとしていると、まもなくステーキとハンバーグが運ばれてきた。さっき強く言ってしまったせいか、料理を運んできたのは男性の店員だった。不機嫌そうな目で俺の顔を覗き込んでくるような仕草だったが、俺は無視することにした。
勿論、気分はよくないが、それよりも先ずは肉だ。男はマニュアル通りに「鉄板が熱くなっておりますのでお気を付けください」と付け加えたが、俺はその言葉の終わりを待たずにナイフとフォークを手に取り、ステーキ皿に手をやった。不機嫌には不機嫌で対応だ。男は特段気にする風もなく伝票を置いて去っていった。
先ずはステーキだ。ソースを肉にぶちまける。肉から鉄板に落ちたソースがじゅっと音を立て、水蒸気がむわっと立ち上った。そんな熱さなど気にもせずに、端から肉を切っては口に運ぶ。

うまいな。(ウマイ)

唾液と混ざった肉の脂が、喉を通り、胃に落ちていく。肉の噛みごたえ、のど越し、胃が膨らんでいく感覚。体中に栄養がいきわたるようだ。これが生きている実感というものだろう。
俺は次々に肉を切っては口に運んだ。いくら食っても食い足りない。食欲旺盛な青年時代を思い出させる。
餓鬼だ。いくら食っても満腹感を得られない地獄で石を食うという餓鬼。まるであれだな。
なんだかちょっとタノシイジャナイカ。

不思議なことに付け合わせの野菜などには手が伸びなかった。夢中でステーキを食い終わり、ふと目線を上げると、周りの客が一斉に目を逸らしたのが分かった。
その中で唯一、ガングロギャルだけが目線を宙に泳がせていた。俺のことなど眼中にない感じだ。

けっ!あんな女じゃあ立たねえ(アレハ ナカマダ。)
は? 仲間?

何か妙な感じがしたがソレヨリモ ニクダという心の声に従うことにした。そうだ肉だ。
次はハンバーグだ。ステーキの皿を向こうにおいやって、ハンバーグを引き寄せた。鉄板もそれほど熱くなくなってる。
こいつもたっぷりデミグラスソースを回しかけて、大きめに切った塊を口に放り込んだ。

ウマイ。エイヨウガドンドンクル。

俺は兎に角、夢中になって肉をむさぼった。肉を切る。ほうばる。噛みしめる。喉に流し込む。水を飲む。肉を切る。ほうばる。ああ、そうか。あんまりがっついてるから周りのやつら感心して見てたんだな。肉はうまいぞお前ら。エイヨウニナル。コドモモタクサンウマレル。

ステーキとハンバーグの2食分の肉を食って、俺は満たされた気分になっていた。なにか心の底から活力がわいてくる。

ツギハセックスダ。
そうだな。次はセックスだ。腹が満たされたら次はセックスだ。
ソノタメノショクジダ。
そうだ。食事とは本来そういうものだ。女、オンナヲサガソウ。
イマスグニ。
そうだ。今すぐにダナ。

オレハ 携帯ヲ トリダシ ココラ辺りの 風俗ヲ サガシ始めタ。
幸いに診察のための金をたっぷり持っている。
 
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2016/10/28

「線虫」医師の見立ての回(1)江波の憂鬱



まったくなんて日だ。

脳神経外科医である江波は自分の執務室で頭を抱えていた。
情に絆され自分の同級生、新谷幹夫の診察に紹介状を書いてやったのが運のつき。新谷は診察を受けたにもかかわらず、その診察料を払わずに逃げたどころか、お駄賃とばかりに江波につけられているインターンの木谷美和子を、あろうことか、衆人環視の受付で襲ったというのだ。
だが、金の話はまあいい。20万少々と高いのは高いが、そんなものは自分が払ってしまえばなんとかなる。木谷へのセクハラ行為も患者が行ったことだから勘弁しろと、これもなんとか説得はできた。問題は紹介状だ。取り扱いが簡単なために、自分の勤める職場を使ったのはまずかった。院内はもうこの噂で持ちきりだろう。部長クラスの耳に入らなければいいが。まったく面倒な話だ。こんな日は早く帰るに限る。

僕はこれから会合があるので出かけるよ。今日はそのまま直帰するので、君も医局に戻りたまえ。

江波が、研究用にしつらえた別の机で専門書を読んでいた木谷に声をかけると、木谷はくるりと椅子を回して江波の方を向きなおした。こちらを向いた木谷の表情もやはり冴えない。こんな日は一緒にいるだけでお互いに窮屈になるだけだ。

はい。

とだけ木谷は答えた。
江波が自分のPCの電源を落とそうと画面に目をやると、院内システムの通知アイコンが点滅しており、なにか新しい情報が1件届いていることが表示されていた。江波は通知アイコンをクリックした。それはMRIの結果が届いたことを告げていた。

(新谷の結果か。どうせ薬物で委縮した脳を見ることになるんだろう。)

とその結果をクリックしようとしたとき、内線電話が鳴った。表示板には「検査課放射線」とだけ表示されている。

(ああ、多分、三島君だな。)

江波は暗い気持ちになった。脳神経外科医は脳内の状態や血管の状態を立体的に把握するためにMRIやMRAをよく使用する。したがって他の部署と比べれば検査課との付き合いが密だ。その中でも診療放射線技師の三島の腕は抜群で、江波は三島を指名して検査をさせることが多かった。新谷のMRIの結果がたった今、江波に送られてきたということは、これは三島からの電話に違いないのだった。
億劫だが江波は受話器を取った。

はい。江波です。
あ、江波先生。三島です。
やあどうも。検査結果を送ってくれたんだろう。
あ、ええ。江波先生、ちょっと大変みたいですね。
君にまで話がいってるのか。まあ、色々とね。
それで中身は見られましたか?
いや、まだだ。

江波は院内システムの通知に張られた画像へのリンクをクリックして、立ち上がった3Dシステム上でマウスホイールをくるくると回し、脳の立体画像を確認した。有機溶剤でもやったのか、若干、前頭部の大脳皮質の萎縮が見られるが、もともと新谷の脳室が大きいのかもしれない。以前の画像がないとはっきりしたことは言えない。

見たよ。現時点、僕からは特段の所見はないな。
そうですか。下半身の方もお送りしたいのですが・・・
ああ、下も撮ったんだったね。何か気になることがあるのかい?
私は専門家ではありませんので、意見は差し控えます。

こういうところが三島の信用できるところだった。診療放射線技師として撮り方も処理の仕方も抜群に上手い。そのくせにでしゃばったところがない。情報の確度を保つことのできる、信頼のおける男だ。

分かった。そういう意味では僕も専門じゃないからな。じゃあ、泌尿器科の飯田先生にメールを入れておくので、それは飯田先生に送っておいてください。

江波は三島に礼を言って受話器を置くと、早速、泌尿器科の飯田にMRIの判断をお願いする旨のメールを書いて送信した。飯田医師とは昨日も昼食を共にし意見交換をしあった仲だ。的確な回答をくれるだろう。
 

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