相続の件はさして揉めることもなかったが
それでも結構時間を取られてしまった。
新幹線で東京に戻るには微妙な時間だった。
今日、東京に戻りたいと岡山本社に連絡を入れると
夜行バスなら明日8:30に新宿着があるぞとの
回答が直ぐに戻ってきた。
新宿行きの夜行バスは前にも使ったことがある。
チケット手配しといてくれ。
順三はそう告げると東京に戻る準備を始めた。
木曜の朝8:30、バスは目的地の新宿に到着した。
順三の当初の予定ではこのまま東京本社に出勤して
月火水の仕事の遅れを取り戻すつもりであった。
しかし今回の深夜バスの旅はどうにも眠れなかった。
やっぱ親父のこと気になってるのかな。
どの道、今週一杯の休みは申請しておいたので
会社に行くか行かないかは順三の気持ち次第だ。
一日くらい羽を伸ばすか。
ガチガチになった腰と背中をうーんと伸ばすと
順三は朝日の当たる道を通勤とは逆に歩き始めた。
こんなことだったら今日帰るんだったな。
順三は2時間近く電車を乗り継ぎ、西船橋に戻ってきた。
腹がいっぱいになって寝ては困るからと我慢していた朝食を
駅近くの食堂で平らげ、ついでにビールをあおった。
もう背中が悲鳴をあげている。
後は寮で寝るだけだ。
順三が寮と呼ぶ西船橋のマンションは社長個人所有の物件だ。
上京の度にホテルを取るのも馬鹿らしいということで
数部屋が幹部社員達に充てられていた。
部屋には家電やエアコン、洗濯機なども一通り揃っており
長期に滞在する順三にとってはあり難いサービスだった。
順三はやっとたどり着いたドアの鍵をガチャリと開けた。
と、玄関に女物のヒールが揃えて脱いである。
奥からビーンという音が響いていたが直ぐに消えた。
なんだ?
順三は傘を手にし、叫んだ。
誰かいるのか。
- 関連記事
-
>> どのストーリーでもあなたの琴線に触れたなら、1クリック応援をよろしくお願いします。
みんなが読んでる話題の情報
- 女性の性欲発動スイッチSMS
- 美人専用逆ナンパシークレッツ ~ たくさんの美人が向こうから勝手にあなたにすり寄ってくるこの魔法を知りたくはないのですか? ~
- 唯一無二の女になるための5stepのエッセンス~九州恋愛コンサルタント内野舞Presence~
コメント