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2014/08/17

男のエッチ話と悪がきの情けない話



月曜の朝、健太の周りには人の輪ができていた。
健太が何か言うたびにどっと笑いが起こり
おっさんも若い者も遠慮なく突っ込みを入れた。

いや、それが凄い女でのー。
最初あそこのしまりが今一かと思うちょったら
肉のヒダがわしのポコチンにこうウニョウニョッと絡みつくんよ。

それで中も凄い熱くてのー。ピクピクしてから
あんなんは、わしこれまで経験ないわ。
それで最後はキテキテー言うから
中で出してしもうたんじゃ。

健さん、なんでキテキテーだけ女の声なんか(笑)
いや、ほんまにそんな声しとったんよ。
中出しってモリケン、相手は人妻じゃろーがや(笑)
それでも、ええっちゅーんですけー。
健さん、ほんとワヤするけのー。

また皆がどっと笑った。
ちょうど健太の話が一区切りついたところで洋二が部屋に入ってきた。
入り口に向かって座っていた健太が声をかけた。

おお、洋二。こないだの話し…
あれ、洋二お前どうしたんか。
あおじができとるやないか。

何人かが洋二に声をかけた。
確かに、洋二の肘には包帯が巻かれ、半袖から見える腕には青あざができていた。

いえ、ちょっと喧嘩で…

洋二は口を濁したが、喧嘩と聞いて皆が気色ばんだ。

なんてや。
いつや。
誰としたんか。
相手わかっちょんか。

皆が一斉に洋二に向かって叫んだ。
誤魔化そうとしたが喧嘩という理由は逆に失敗だったようだ。

すんません。嘘です。
おい、洋二。ちょっとこい。

健太が洋二を呼び、皆の真ん中の席に座らせた。

なんがあったかゆうてみい。

洋二は観念して、薬を入れたこと、愛子をホテルに連れ込んだこと
そして金玉を殴られ、灰皿でぼこぼこにされたことを話した。

話の流れでシャツの脇をめくり腰の青あざも見せた。

お前、あの細い子に、きん、金玉殴られたんか(笑)
悪いことするけーこーなるんよのー。
馬鹿じゃー、こんなん。
やいとじゃ。やいと。

健太はプルプルと笑いを堪えていたが、抑えきれずに吹き出した。
同じく皆笑っていたが、笑いながら洋二の頭を張り倒した。
今度の件で2度目のぼこぼこである。

暖かく厳しい先輩方の鉄拳制裁に、もうつまらん悪戯はやめよう
心の底からそう誓う洋二であった。

(広島編 了)
 
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2014/08/16

生来の優しさから悩みに悩んだ玉田は心を病んでしまう



玉田晴彦は今日も不機嫌だった。

「なんだってんだ、ちくしょう」

木場駅に急ぐ人が驚いて振り返るくらいの声で独り言が漏れる。
玉田のこの不機嫌は、昨日今日、始まったわけではない。
ここ数年、ずっと己の人生を呪いイラついているのだ。
実際、玉田の人生は最近の5年で劇的に変わっていた。

「なに見てんだ。バカ野郎。」

この玉田の怒りには充分な理由がある。
そもそも玉田は幸せな人生を送っていたのだ。

20代でそこそこ名の通った大学を卒業し
業界でも5本の指に入る印刷会社の子会社に就職した。
丁度、印刷業界にはコンピュータ化の波が押し寄せており
玉田はDTPのオペレータとして忙しく働いた。

オペレータとしてのセンスも良く人当たりもいい
玉田はすぐに主任に昇格した。
その頃、デパートの売り子をしていた由紀子と出会い
2年の交際を経て結婚。
この結婚は会社の皆にも祝福された。
そしてすぐに2人の子供に恵まれる。
安月給ながらも家庭は順調そのものだった。
30代では係長、そして課長へと順調に出世した。
役職の多い会社ではあったが、
玉田にも部下ができ、仕事の取り回しも上手くやった。
しかし玉田が40後半になる頃、会社に変革が起きた。
親会社が事業の再編・縮小に手をつけたのだ。

親会社から優先的に流れてきていた仕事は
同規模の同業他社と相見積で戦わさせることになった。
これまでまったく危機感を持ったこともなく
営業は親会社頼りという体制だった会社はあっという間に傾いた。
そしてそもそも過剰人員だということでリストラが敢行された。
社内の雰囲気は一変し、ぎすぎすしたものになった。
玉田自身はリストラを告げる側の立場にあったのだが
生来の優しさから悩みに悩んでしまった。
そして玉田は心を病んでしまう。

何かおかしいと通院のために2週間会社を休み、
復帰すると、玉田は栃木の印刷工場への出向を命じられた。
家族とは離れられない。
何とか東京に残してくれと玉田は懇願した。
その結果、豊洲の関連会社へ転籍となったのだった。

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2014/08/15

落ちる。落ちる。ただ落ちてゆく。何もすがれるものはない。



初めて豊洲の関連会社を訪れたときに玉田は驚いた。
そこは周りをマンションやアパートに囲まれたただの町工場だったのだ。
電気を点けることは禁じられ、狭い部屋に30人近くが押し込められていた。
千葉の印刷工場が忙しいときには工員として借り出されるのだが
そうでも無ければ、ただ一日を無為に過ごしていく。
そこは関連会社とは名ばかりの姥捨て山だった。

これまで勤めていた茅場町のオフィスとはあまりにも違いすぎる。

初めの頃、玉田は自分でなにかしらを生み出そうとあがいてみた。
だがその関連会社には、親会社から転籍をくらった高齢の役職者が多く
よそ者の玉田の行動は疎まれた。
そうこうする内に玉田は何もできなくなってしまった。

給料は元々もらっていた額の1/3になった。
いや、給料が下がるのは、転籍をのんだときに決まっていた話だ。
しかし、短大に進んだ2人の娘に何かとお金がかかる今
妻の由紀子は、どうするんだ、どうするんだと玉田に詰め寄った。
由紀子にしてみれば当然の要求であり、それほど責めたわけでもないのだが
かと言ってどうすることもできない玉田には妻の視線が痛かった。

玉田が最初、心の病に沈んだとき、妻の由紀子は随分励ましてくれた。
だから、僕ら家族は離れられない。何とか東京にいたい。
そういう思いでこの話をのんだんじゃないか。
そう言い出せない玉田は日々を鬱々と過ごしていた。

ある日、向精神薬とお酒を併用し錯乱状態になった玉田は
子供の見ている前で由紀子に手をあげ、暴れまわってしまう。
その日を境に妻と子供は家を出て行ってしまった。

そうこうしている内に、親会社が子会社を売り飛ばしてしまった。
勿論、関連会社に転籍している玉田にはなんの関係もないのだが
これによって玉田は完全に心のより所を失ってしまう。
もはや彼はDTPとは縁もゆかりも無くなってしまったのだ。

あの幸せな家庭は、華やかな生活は、どこに行ってしまったのだ。
傍目にみれば、絵に描いたような転落人生だった。


今日も玉田は豊洲から運河を渡り、木場駅まで歩いてきた。
永代通りまで出てトンカツ屋に入る。
定食を頼んでビールも1本つける。
テレビのプロ野球のセパ交流戦を横目に
昨日発売の青年誌を読みながら

「なんだってんだ、ちくしょう」

と大きな独り言をつぶやいた。

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2014/08/14

どうせ俺は一人なのだ。家族の居ない部屋で自棄酒をかっくらう。



玉田は心の病気が完治せず、躁鬱の気が激しかった。
会社にああしろこうしろと五月蝿く指示する人間はいない。
閑職なのであるから、給料なりにのんびり過ごすという選択肢もあるのだ。
実際、同僚とも呼べない同僚は何人かで集まって談笑しているのだが
玉田は会社にいる間、ただ机に着き、鬱々悶々としていた。

たまにスマホでネット掲示板を覗き他人にねちこく絡むが
そんな掲示板でも玉田はあまり相手にされなかった。
そしてスマホも使いすぎると電池がなくなってしまう。
会社はスマホの充電を認めなかったので
一日中、ネットに逃げ込むわけにもいかなかった。
これが例え電源が切れたとしても
玉田に電話してくる者などいなかったのだが。。。

自分が誰にも必要とされないと自覚する生活を続け
半年が過ぎた頃、玉田は胸に痛みを覚えた。

肺ガンか。

タバコ好きの玉田は自分に寿命が来たのだと考えた。
そう言えば最近、咳も増えタンもよく出る。
息苦しくなることだってある。
ネットで調べると症状の一つ一つが当てはまるように思えた。
しかしこれは単なる勘違い、つまりグーグル症候群なのだが
玉田は肺ガンに間違いないと信じ込んだ。

何もかもなくして、日々楽しいこともなく
そして俺はとうとう死んでしまうのだ。
なんなんだ俺の人生は。
玉田は家族の居ない部屋で自棄酒をかっくらい一人暴れた。

もともとが優しい性格で、引っ込み思案
腕力が強いわけでも、押しが強いわけでもなく
今から転職して新しい世界に飛び込む勇気も無い。
いわゆる普通のサラリーマンであった玉田は
これまで単に人生を拗ねていただけなのだが
"死"を意識した瞬間から本格的に壊れた。

薬を飲む関係上、お酒は控えめにしていたのだが
毎日、ふらふらになるまで焼酎をかっくらうようになった。
頬がこけ、髪は伸び放題。ひげもあまり剃らなくなった。
顔は土色になり、目の焦点が合わなくなった。
そして徐々に思ったことを

心に留めることができなくなっていた。

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2014/08/13

女のスカートの隙間からわずかにパンティが見えたような気がした。



「開けよ」

作業着に身を包んだ玉田が独り言を呟いた。

玉田はトンカツ定食を平らげた後、木場駅から東西線に乗り込んだ。
玉田がつり革を持って立つと正面の男はすぐに席を立った。
空いた席にどっかりと座り、まわりを見渡すと
斜め前の女がうつらうつらと眠りかけている。
その女は高目のヒールを履いているのだが
ヒールの踵を中心に膝が開いてしまっていた。
タイトスカートだが、だらしなく腰掛けているせいで
あとわずかに膝が開けばパンティが見えそうだった。

「もっと開けよ」

玉田は誰に語るわけでもなくそう言うと
腰を動かし座席に寝そべるような格好になった。
女のスカートの薄暗い隙間から極わずかに
白いパンティが見えたような気がした。

「いいじゃないかお前!」

玉田は周りの状況を全く考えることもできず
大きくもなっていない自分のペニスを
作業ズボンの上からさすっていた。

ちょなにアレ。マジきもいんですけどー。
うっそー。まじー? ワラけるー。

車輪とレールの軋み音しか聞こえない車内に若い女性の声が響いた。
声の主は車両の端に座ったきゃぴきゃぴのギャル達である。

「ああ!?」

玉田はその声の主を睨みつけようとして、はっ!と気がついた。
先ほどからの自分の行動が頭の中にうっすら蘇る。
何より自分の今の体勢は女性のパンティを盗み見ようとしていたのに間違いない。
向精神薬を飲み始めてから自分の性欲は減退していた。
イライラが口を突くことは自覚していたが、まさかこんなことまで。

なんだ。俺はもう完全にキチガイだ。

玉田は慌てて立ち上がると隣の車両に席を移した。
若い男達が総務の娘をやったのやらないので騒いでいたが
玉田の耳には何も届かなかった。

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2014/08/12

俺が死ねば保険金入るな。女房喜ぶかな。



隣の車両に移り空いた席を見つけると
玉田は崩れるように座り込み頭を抱えた。
背中に大量の汗が噴き出していた。息も苦しい。

俺はもう本当にキチガイだ。
生きてる価値もない。

目をつぶり呼吸を整えようとしたが無理だった。
圧倒的な鬱が玉田を襲ってきた。

俺が何をしたっていうんだ。
家族は逃げちまった。
親も兄弟もいない。
同僚もいない。
誰か助けてくれ。
俺は一人ぽっちだ。

頭の中で悪い妄想だけが延々ループした。

もう死ぬか。
どうせ肺ガンだしな。

俺が死ねば保険金入るな。
女房喜ぶかな。

長い長い圧倒的な鬱の暗闇の中で
自殺を考えた瞬間になぜかそれまでの息苦しさが収まった。
ずっとずっと悶々として暮らしてきた玉田の頭の中に
半年振りくらいに由紀子と子供達の笑顔が浮かんだのだ。

うん。明日は土曜日だし千葉の海で死のう。
あいつらにできるだけお金は残してやらないとな。
でも、最後に美味しいものくらい食べたいな。
そのくらい許されるかな。
寿司か。
昼間からビールでステーキもいいな。

玉田は素晴らしく正しい選択をしたような気がして久々に愉快な気分になった。
俺はもう明日逝くことに決めたのだ。ピクニックのようなものだ。
実に愉快なんだ。こんなに楽しいのは本当に久しぶりだ。
一つ一つ丁寧に言葉を選んで妻の由紀子にメールをした。
だが由紀子からの返事は無かった。



翌早朝。

玉田は警察官の訪問で叩き起こされた。
若い警官に続いて由紀子が部屋に飛び込んできた。
「あんた。なにしてんのよー。」
由紀子は泣いていた。

その由紀子の顔を見た瞬間に
「さびじぃよぉ。。。」
玉田は泣き崩れたのであった。

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2014/08/09

週初めに父親が急逝したんだ・・・



金曜の夜、山本順三は仕事を終え東西線に乗っていた。
週初めに父親が急逝したとの連絡が入り
通夜や葬儀に出席のため実家に帰ったこともあって
今週の仕事はバタバタとしていた。

窓の暗闇の向こうに工場の明かりが点々と灯る。
そんな風景を見るとはなしに眺めながら順三は
明後日はどうやって社長の奥さんをいたぶってやろうか
そんなことを考えていた。


山本順三は38歳。
中学の子供一人と嫁を養う家族持ちだ。
東京の大学を卒業し、地元の岡山で就職をした。
地元では有名な大手と呼ばれる会社に勤めている。
新進気鋭で常に前向きに精力的に働く順三は今
幹部社員として東京本社のプロジェクトに関わっていた。
既に単身赴任で半年以上、東京での忙しい日々を過ごしている。

そんな順三に週初め、妻からの電話がかかってきた。
お父さん、亡くなったのよ。

父親は既に70代後半だった。
仕事を引退してから病気がちになり
ここ数年、入退院を繰り返してきた。
そんな父親が亡くなったというのは
順三にはそれほどショックでもなかった。

分かった。直ぐに戻る。

順三は上司に事情を告げると、寮には戻らず
会社からそのまま新幹線に飛び乗って
地元である岡山に戻ったのであった。

岡山には長兄、次兄およびその家族がいて
通夜の手はずも葬儀の手はずも万事整っていた。
日柄も友引などに引っかからなかったため
葬儀は淡々と進み、火葬、お骨拾いが終わった。
精進明けも済み親戚への挨拶が終わると
相続の段になった。
親父のことは兄貴に任せる。
順三はそう言い実印を妻に渡した。

親父の面倒を見てたのは兄貴だ。
俺はいいよ。そういう気持ちだった。
また仕事が溜まっていたので
東京に早く帰りたいという気持ちもあった。

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2014/08/08

葬儀から疲れて帰ってくると、俺の部屋に誰か居る!?



相続の件はさして揉めることもなかったが
それでも結構時間を取られてしまった。
新幹線で東京に戻るには微妙な時間だった。
今日、東京に戻りたいと岡山本社に連絡を入れると
夜行バスなら明日8:30に新宿着があるぞとの
回答が直ぐに戻ってきた。
新宿行きの夜行バスは前にも使ったことがある。
チケット手配しといてくれ。
順三はそう告げると東京に戻る準備を始めた。

木曜の朝8:30、バスは目的地の新宿に到着した。
順三の当初の予定ではこのまま東京本社に出勤して
月火水の仕事の遅れを取り戻すつもりであった。
しかし今回の深夜バスの旅はどうにも眠れなかった。

やっぱ親父のこと気になってるのかな。

どの道、今週一杯の休みは申請しておいたので
会社に行くか行かないかは順三の気持ち次第だ。

一日くらい羽を伸ばすか。

ガチガチになった腰と背中をうーんと伸ばすと
順三は朝日の当たる道を通勤とは逆に歩き始めた。


こんなことだったら今日帰るんだったな。

順三は2時間近く電車を乗り継ぎ、西船橋に戻ってきた。
腹がいっぱいになって寝ては困るからと我慢していた朝食を
駅近くの食堂で平らげ、ついでにビールをあおった。
もう背中が悲鳴をあげている。
後は寮で寝るだけだ。

順三が寮と呼ぶ西船橋のマンションは社長個人所有の物件だ。
上京の度にホテルを取るのも馬鹿らしいということで
数部屋が幹部社員達に充てられていた。
部屋には家電やエアコン、洗濯機なども一通り揃っており
長期に滞在する順三にとってはあり難いサービスだった。

順三はやっとたどり着いたドアの鍵をガチャリと開けた。
と、玄関に女物のヒールが揃えて脱いである。
奥からビーンという音が響いていたが直ぐに消えた。

なんだ?

順三は傘を手にし、叫んだ。

誰かいるのか。

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2014/08/07

ちょ、ちょっと奥さん。俺の部屋で何してるの。



順三は荷物を玄関に置き、ドアの鍵を内から閉めた。
ヒールが置いてあるということは女だろう。
傘さえあればなんとかなる。

順三は靴のまま廊下を進んだ。
ユニットバスに聞き耳を立てるが人気はない。
次にリビングのドアを開けると、勢いよく中に飛び込んだ。
明るいリビングを見回すが、誰もいない。
聞けば、寝室の方からまだがさごそと音が聞こえる。
順三は左手で傘を構えると、寝室のノブに手をかけ
一気にドアを開けた。

こら!誰かっ!

カーテンがかかったままの
薄暗い寝室に居たのは社長婦人であった。

婦人は目線を後ろにもって行ったまま
スカートのファスナーを閉めようとしていた。
よほど慌て着たのだろう
ピンクのシャツの上ボタンは半開きで
片方の裾はウェストから飛び出している。

順三はなんだこりゃと驚いて見ていた。

マンションは社長の持ち物なので
社員の部屋が綺麗に使ってあるかどうか
極まれに日曜などに抜き打ち検査があったりする。
年末に社員がいない間に大掃除をしてくれたり
業者を入れて清掃をしてくれたりすることもある。
だから社長や婦人が鍵を持ってるのは、まあ分かる。
だけど、なんだこりゃだ。

婦人はある程度、身なりを整えると
ベッドの脇に置いていたバッグを抱えて
順三の横を無言で通り過ぎようとした。
いくらなんでもそれはないだろうと
順三は腕で制した。

ちょっと、奥さん。
なんでもないわ。
何でもなくないでしょう。
掃除してたのよ。ちょっとどいて。

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2014/08/06

口止めした方が良いと思いますよー。



社長婦人は通せんぼをしている順三の
腕を押し、その下をくぐり抜けようとしていた。

いや、まあ別にこのまま帰ってもいいですけど、

婦人は順三の言葉を無視してくぐり抜けリビングに出た。
順三は押し切って去ろうとする婦人の背中に言葉を投げかけた。

僕は社長に言わなきゃならなくなりますね。
木曜の朝早くから奥さんが僕の部屋の掃除に来てたって。

帰ろうとしていた婦人が立ち止まり、体ごと振り返った。
40代の綺麗な顔立ちが苦痛にゆがんでいる。
首から上が真っ赤だった。

言えば良いじゃない。
あれー本当ですかー。
くっっっ
口止めした方が良いと思いますよー。

唇をかむという表情はこういうのを言うのだろう。
リビングに差し込む柔らかな日差しの中で
屈辱に立ち尽くす婦人の姿はなかなか美しかった。

順三はこっちこっちと手招きをした。
婦人は怒ったような顔のまま寝室に戻ってきた。
順三は婦人の見ている前で傘を捨て
靴とズボン、靴下を手早く脱いだ。

そんな怒った顔しててもしようがないんだから

順三は婦人の肩を押さえて自分の前に跪かせた。
そして後ろ髪を掴むとブリーフに婦人の顔を押し付けた。
嫌そうな顔がなんともたまらない。
頬紅が付こうが口紅が付こうが構うもんか。
パンツは後で洗うなり捨てるなりすりゃ良い。

昨夜の寝不足による疲れマラだろう
順三のペニスはかちこちに勃起しており
婦人の柔らかなほっぺたや鼻が当たると気持ちよかった。

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2014/08/05

どうせこれが欲しかったんだろ。舐めろよ。ほら。



どうせこれが欲しかったんだろ。舐めろよ。ほら。

ブリーフをさっと脱ぎ捨てペニスを婦人に晒した。
先ほどと同じように婦人の後ろ髪を持って揺するが
今度は抵抗にあい、顔にベタ付けはさせなかった。

奥さん、俺の部屋でオナニーしてましたって言うか?
面倒な抵抗すんなよ。ほら、舐めろ。

ギッと睨まれたが、婦人は仕方なしにペニスを手にした。
そして初めに抵抗した割には、舐め始めると裏筋、カリ、
ペニスの横、亀頭を舌の先で丁寧に舐めとるのだった。
ピチョピチョといやらしい音が部屋に響いた。

玉もだ。

完全に優位に立った順三は遠慮なく注文した。
昨夜からの夜行バスできっと金玉は蒸れている。
汗臭いだろう。それを舐めとらせるのだ。
順三はその征服欲に興奮し一層勃起を強めた。
婦人はさほどの抵抗もなく玉舐めに移行した。
少しだけ強く玉を吸ったのはわずかな反抗心からだろう。

上手じゃないか、お前。
うん。
よし、こっちに来い。

やっと婦人が口をきいた。
順三は婦人の手を引き、自分はベッドに腰を掛けた。

今度はフェラだ。できるな。

手で示して、口でのストロークを指示した。
婦人はストロークもなかなか上手だった。
最初から「も」の発音の形をした唇で亀頭を押し広げ
左右に開いた鈴の口を舌の先でチロチロと突く。
そのまま舌を絡めて亀頭全体に刺激を与えながら
竿を喉の奥まで深く飲み込んでいった。
そこに唾が混ざるものだから
ずぶちょ きゅぷ ずぶちょと音が響く。
リズミカルな口淫が続いた。

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2014/08/04

婦人はストッキングを履いていない。いきなり純白のパンティが現れた。



婦人にフェラチオをさせながら
順三は脱いだズボンのポケットからiPhoneを取り出した。
順三がスマホをなにか弄っているのに気がついた婦人は

お願い。写真はやめて。

と懇願した。ま、そりゃそうだろうな。流石にな。
順三は分かったと言って、ICレコーダ機能をONにした。
ICレコーダは会議の時にもよく使用しているので
その扱いには馴れていた。録音開始を確認すると
順三はiPhoneをベッドの枕元に放り投げた。

よし。立て。

まだフェラチオを続けている婦人の顎に手をやると
婦人はフェラを中止して立ち上がった。

脱げ。
これで許してくれるんじゃないの…
許すも何もあんたまだ謝ってないじゃないか。

まだ何してたかも聞いてないしな。

順三はスカートに手を回し後ろのファスナーを下げた。
婦人は抵抗したがスカートはふわりと床に落ちた。
よほど先ほど慌てたのか婦人はストッキングを履いていない。
いきなり純白のパンティが現れた。

待って、待って。謝ります。
ほう。
ごめんなさい。
何が。何にごめんなさいなんだ。

じゃあ、俺に続いて言うんだ。

私は
わたしは
山本さんが留守の間に
やまもとさんがるすのあいだに
家に忍び込んで
いえにしのびこんで
オナニーを楽しみました。
オナニー…
聞こえない。オナニーを楽しみました。
おなにーをたのしみました
部屋を汚してごめんなさい。
へやをよごしてごめんなさい

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2014/08/03

あんたの望みはセックスで、俺の望みはセックスだ。



婦人は乱れたシャツの下に純白のパンティを晒して立っていた。
顔はうなだれ、首から上が真っ赤になっている。

これで許して…
お前、俺の部屋から何か盗ってないだろうな。
そんな。何も盗ってません。
バッグ見せろ。
嫌です。
いいから見せろ。

婦人はしゃがんで自分のバッグを拾い順三に手渡した。
取り返そうとしているのかさっきより一歩前に出ている。

開けるぞ。

なんだよ、このバイブは(笑)

財布やハンカチの入った高級そうなバッグの一番上に
無造作に黒いバイブが乗っかっていた。
順三はバイブを掴むとベッドに放り投げ
更にバッグの中を探りながら言った。

あれで遊んでたのか。

俺の布団を汚したな。
すみません。
大股広げて突っ込んでたんだろ。
お願い。やめて。
ふん。バッグの中は何もなさそうだな。

順三はバッグを婦人に返した。

だけど、まだ隠すところはあるよな。
なに。
印鑑くらい隠せそうじゃないか。

順三は婦人の腰に手を回し
パンティの真ん中のふくらみを指で突いた。

隠してません。
どうかな。
開いて見せるなんて絶対しません。
まあ、分かった。あんたは俺の留守に家に上がって何か盗ったかもしれない。
と っ て ま せ ん。
しかし、俺はそれを黙っててやろう。

代わりにセックスだ。

あんたはさっき俺の部屋でオナニーをしてた。

あんたの望みはセックスで、俺の望みはセックスだ。

どうだ。問題があるか。

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2014/08/02

なんで俺の部屋でオナニーなんだ。じっくり聞こうじゃないか。



盗ったかどうか調べてみればいいじゃない。

婦人はいったんしゃがんで自分のバッグを脇に置き
再び立ち上がるとパンティを脱ぎ順三の前に立った。
順三はベッドからこんもりとした茂みの下に手を伸ばした。
順三が指で大陰唇を広げてみると婦人の陰部はぬめっていた。
粘度のある液で、尋常じゃない濡れ具合だ。

なんだよ奥さん、濡れてるじゃないか。

指を折り曲げて中をかき回してみる。
先ほどまでバイブで遊んでいたせいか
膣壁はあまり引っかかりもなく抵抗もなく指が中に入った。

くっっ

そこで順三は婦人の腕を取り、ベッドにひきづり倒した。
婦人のシャツが擦れて順三のペニスを刺激した。

なあ、あんたと秘密が共有できりゃ俺はしゃべらない。
絶対よ。
ああ、そんなのしゃべれるもんか。
あと中出しは駄目。お願い。
分かった。心配すんな。

順三は婦人の顔に顔を近づけた。
婦人は抵抗もなく目を閉じ、順三のキスを受け入れた。
舌と舌が絡み合い、ねっとりと糸を引くようなキスだった。

上になってくれ。

順三が言うと、婦人はためらいもなく
順三のペニスを握り自分の下腹部に当てた。
何度か亀頭を陰部でこすり自分の愛液で滑らせると
血管の浮き出た順三の肉棒を自重で蜜壷に収めていった。
順三はなかなかいい眺めだと、その行為を見ていた。

奥さん、動かなくていい。

順三は起き上がると対面座位の姿勢になった。

それで、なんで俺の部屋でオナニーなんだ。
じっくり聞こうじゃないか。

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2014/08/01

あれあの人の趣味なのよ。そうやって愚痴る女。



なんで俺の部屋でオナニーなんだ。

秘密の共有という言葉に安心したのか婦人は喋り始めた。

帰ってこないと思ってたから。
なんで。
お葬式なんでしょ。
なんで知ってる。
うちの人のカレンダーに書いてあったのよ。
会社のことが?
んーん。ここのマンションに入ってる人の予定。
予定が?
うん。よく抜き打ちに来るでしょ。
ああ、たまにな。
自分の持ち物だから綺麗かどうか気になるみたいだけど
だろうな。
あれあの人の趣味なのよ。
へえ。
他にやることないの。きっと。
あるだろ。社長なんだし。
二代目で営業も実務も無理だし、経営者としても軽く見られてるでしょ。
ああ。禁煙令とか部長連中にぼろかすに言われてたな。どうでもいいとか。
そうなの。だから自分で管理できるこのマンションには細かいのよ。
なるほどね。
家のことも一々うるさいけどね。
奥さんにも?
私にはお金の使い方とか掃除とか食事も。子供には勉強のこととか。
細かい?
ちっちゃいのよ。男が。
嫌いなんだ。
嫌いじゃないけど、
分かれりゃいいじゃん。
子供に父親は必要でしょ。
金もだろ。
男の魅力はなくても家族なの。
だから、セックスもしない。
セックスは随分前からしなくなったわ。
浮気は?
浮気はしない。
はっはっは。それでバイブだ。

婦人がキッと睨んだ。
順三は目線を逃がすために少しだけ腰を振った。

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