・・・んたにくん。おい。新谷。
突然の呼びかけに、俺はピンク色の妄想から現実世界に引き戻された。
宙を彷徨っていた目の焦点が合うと、机の向こうに後輩の高橋が座り目を丸くしてこちらを見ている。
向かいに高橋が座っているのはいつも見慣れた風景だが、その後ろに立っていたのは部長の小林だ。
声の主はどうやら小林部長のようだった。こいつはめんどくさい。
何やってんだ君は。
小林はとうに40を越えている、ほうれい線の目立つ口うるさいババアだ。
いつも白のスーツでびしっと決めてはいるが、でっぱった腹がみっともない。
男口調で男をけなすことに命を懸けているような、そんな女だ。
その小林の真っ赤な口紅から、俺に向けて容赦のない叱責の言葉が飛ぶ。
さっきから私の方を見て、よだれでも垂らしそうな間抜け面をさらしてるがなんの用だ?
あ、いえ。すみません。。。
悲しいことに俺が小林を見てぼーっとしていたのは事実だ。
もしかしたら本当によだれを垂らしていたかもしれない。
男だらけのこの職場で小林に目が留まったところまでは確かに覚えている。
だがその後は、記憶に妙に紗がかかったように、なにも思い出せない。
わずかに感覚として残っているのは、目くるめくセックスの快楽を思わせる妄想とも現実ともつかない多幸感に包まれた世界だったということ。
そして、自分でも信じられないことだが、今、小林に叱られながらも、俺の陰茎は最大級の勃起を維持しているのだ。
俺の返事を待たずに小林部長の叱責の言葉がかぶさってきた。
君は昨日の部内会議も様子がおかしかったようだが?
あ、、、
どうにも言葉が出てこないが、それは覚えている。
昨日の会議もたしかにそうだ。パートの恵子ちゃんが会議室に入ってきてお茶をみんなに配ってくれた時だ。
あの時も俺は一気にピンクの世界に引きずり込まれ、気が付くと猛烈に勃起していた。
本部長から内部留保の説明について求められるまで、現実世界には帰ってこなかった。
本当に俺はどうしちゃったのか。。。
体調でも悪いなら邪魔だ。とっとと家に帰れ。
小林の罵りの言葉が始まった。これが始まると長いのだ。
だが俺もピンクの世界から帰ってきて、だいぶ思考がはっきりとしてきている。
小林の言い方は癪に障るが、言われてみれば確かにここ数日熱っぽい気もする。
なにやらぼーっとする回数が多いのもそのせいかもしれないな。
そうですね。熱があるようなので今日は帰らせていただきます。
は!?
これから頑張りますの言葉を期待していたであろう小林部長の口があんぐりと空いたままになった。
なんだかいい気味だ。
しばらく来なくていいよ。馬鹿。
顔を真っ赤にさせて小林部長が言い切り、その場を去っていった。
誰かに言いつけにいったか? まあいい。
それにしても言い方があるだろう。奴はコンプライアンスってものを知らんのかな。
そんなことを考えていると、痛いほどに隆起していた勃起も徐々に収まってきた。
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コメント
秋の夜長のエロホラーについて
一応、今回分を書き終えましたので、例によって並べ替えを行い一連のお話を読み易くしておこうと思います。後から数話、途中で書き飛ばした話を加えたいなと考えております。お楽しみに。
2016-11-26 17:24 はるお URL 編集